そんななか迎えた発達検査の日、予想もしなかった夫の反応が、夫婦の関係を大きく変えることに──。
今回は筆者の友人から聞いた、心に残る子育てにまつわる夫婦関係のエピソードをご紹介します。
他人事だった夫
『息子は言葉の発達が遅れているのでは?』とあるとき気づいたのは私の方でした。
2歳を過ぎても言葉が少なく、なかなか話せないままでいた息子。
保育園の先生からも、
「一度、相談に行ってみては」
と勧められて日に日に不安が膨らんでいきました。
しかし夫に相談しても、
「気にしすぎだよ」
「男の子ってそんなものじゃない?」
とまるで他人事。
子育てへの意識に差があるように感じ悩みつつも、とにかく不安で仕方なかったこともあり、半ば強引に夫を連れて息子を検査してもらうことにしました。
改心
一通り検査を終えた後、息子の様子を丁寧に見守ってくれていた専門スタッフからは、言葉を選びながらもこのように診断されました。
「少し言葉の理解がゆっくりかもしれませんね」
「しっかりこれから細かい検査をする必要がありそうです」
その言葉を聞いた途端、横にいた目から涙をこぼす夫を見てとても驚いた私。
夫が涙したことなど、交際時も結婚してからも、ほとんど見たことがなかったからです。
「俺、全然気づいていなかった」
「息子をちゃんと見てあげられていなかったなんて父親失格だ」
そう放心状態でつぶやく夫の姿に、私の方が泣きそうになりました。
意識改革
子育てに関しては頼りにならないと思っていた夫が、初めて“父親の顔”で向き合ってくれた瞬間でした。
それ以来、夫は療育の内容を一緒に調べたり、保育園の連絡帳を毎日読んだりするように。
私1人で背負っていたものを“2人で背負えている”と思えるようになったのです。
本当のパートナー
子育ては、知識や準備ももちろん大切ですが、それ以上に“子どもの異変にいち早く気づくこと”も重要なのだと感じた私たち。
そして、その気づきを共有できるパートナーがいることが、どれほど心強いことか……。
この日から、私たちは“一緒に子育てする本当のパートナー”になれたように思っています。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にFTNでヒアリングと執筆を行う。