職場がざわつくなか、「やっぱり最近の若者は……」と早合点していた矢先、家族からの思いがけない連絡が届くことに──。
今回は筆者の友人から聞いた、職場での反省エピソードをご紹介します。
無断欠勤
今年の春、希望に満ちて入社してきた新人の男性社員にまつわる出来事です。
初日は緊張しながらも元気に出社し、
「明日もがんばります!」
と明るく帰っていったはずでした。
「ハキハキと気持ちのいい子だね」
「一緒にこれからがんばっていきたいな」
と同僚からの評価も上々。
でも翌日、あんなに張り切っていたはずの彼が出社してこなかったのです!
しかも、連絡が一切なく、電話しても一向につながる気配がありませんでした……。
根性がない?
「いきなり無断欠勤?」
「やっぱり最近の若者は根性がないのかも」
と、ざわつく職場。
『まさか、もう辞めたの?』
『面倒な仕事だからと嫌になってしまったのかも』
そう私も含め、彼の無断欠勤を誰もがネガティブに受け止めていました。
でも、お昼を過ぎた頃、ようやく会社に連絡が!
それも、本人からではなく、家族からの電話でした。
まさかの事情が!
「息子が朝、自転車で事故に遭い今入院しています」
「意識はありますが、スマホも壊れてしまって……」
「急なことでバタバタしてしまい、ご連絡が遅れて本当に申し訳ありません」
たまたま私が電話に出たのですが、思ってもいなかった話に、思わず言葉を失いました。
それなら連絡ができなかったのも無理はありません。
無断欠勤でもなんでもなく、どうしようもない状況だったのです。
上司や同僚たちにもすぐに情報を共有し、体制を整えて彼の復帰を待つことに。
“若者=すぐ辞めるかも”という先入観だけで判断しそうになった自分を猛省しました。
相手を思いやろう
“連絡がない=やる気がない”ということかは、一概には言えません。
相手に何が起きているか、こちらが知る由もない事態も往々にしてあると学んだ私。
そして現在、彼は手術も成功して無事に退院でき、元気に一緒に働いています。
これからは何でもすぐに決めつけるのではなく、“見えない背景”にも想像力を回して相手を思いやる気持ちを大切にしようと思った出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にFTNでヒアリングと執筆を行う。