行列のできる店での混雑
日曜日のランチタイム、家族で訪れた人気の飲食店は、すでに人であふれていました。
待合所には座る場所もなく、立って待つ人でいっぱいです。
さらに店員のアルバイトらしき若い女性は不慣れな様子でアタフタ。なかなかスムーズに案内できず、待つ人々の表情には苛立ちが見え始めていました。
イライラするお客たち
「まだですか?」「順番はどうなっているの?」と、店員さんに詰め寄るお客さんの姿もありました。店員さんは対応しきれず、さらにアタフタ。
待合所全体が不穏な空気に包まれ、少しのきっかけでクレームに発展しそうな雰囲気です。
私も「この先どうなるのだろう」とハラハラしていました。
ヒーロー登場
そんな中、スッと立ち上がったのは、待合所にいた父親らしき男性でした。
高齢者が入ってくると「ちょっと詰めて座らせてあげてください」と声をかけ、スムーズに席を譲らせます。
店員さんに詰め寄る人には代わりに名前を聞き、「あと何組でご案内みたいですよ」と店員さんをフォロー。
さらに、「お腹すきますよねー」と周囲に笑顔を向け、待合所全体を和ませます。
その姿はまるでヒーロー。その場の空気を一変させました。
店員さんもホッとした表情を見せ、お客さんたちも落ち着きを取り戻しました。
空気の変化
やがてその男性の順番が来ました。
周囲のお客さんに「お先です」と笑顔で軽く会釈し、店員さんに「あと、頼むで〜」とさわやかに一言。
待合所が笑いに包まれました。
その背中を見送る時、私は思いました。混雑やトラブルの場面でも、冷静さとユーモアを持つ人が一人いるだけで、空気はこんなにも変わるのだと。
ヒーロー登場のおかげで、楽しい待ち時間になりました。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒヤリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大下ユウ
歯科衛生士として長年活躍後、一般事務、そして子育てを経て再び歯科衛生士に復帰。その後、自身の経験を活かし、対人関係の仕事とは真逆の在宅ワークであるWebライターに挑戦。現在は、歯科・医療関係、占い、子育て、料理といった幅広いジャンルで、自身の経験や家族・友人へのヒアリングを通して、読者の心に響く記事を執筆中。