不安な産後スタート
3人目を出産したとき、正直に言えば不安でいっぱいでした。
姑はすでに亡くなっており、夫は家業で忙しい。里帰り出産も考えましたが、実家は遠く、上の子の学校や幼稚園のことを考えるとむずかしい状況でした。
「ワンオペ産後になるかもしれない」と覚悟を決めていました。
ところが、その不安を吹き飛ばすように、思いがけない助っ人が名乗りをあげました。
それはなんと――お舅さんでした。
エプロン姿の舅
もともと料理が得意でフットワークの軽いお舅さん。エプロンをつけてフライパンを振る姿は、まるでベテラン主婦。
しかも料理だけでなく、上の子たちの相手まで抜かりなし。お風呂や着替え、絵本の読み聞かせもお手のもの。
上の子たちも、おじいちゃんの言うことならよく聞くので、私がベッドで休んでいる間も家はきちんと回っていたのです。
スーパー舅、現る
お舅さんは、これまで地元で商売を営んできたこともあり、コミュニケーション能力が高く、子どもの送り迎えをするうちに、幼稚園の先生やママ友さんともすっかり仲良くなりました。
いつの間にか周りの人たちから「スーパー舅」と呼ばれていました。
料理、洗濯、掃除、育児……主婦業を淡々とこなし、支えてくれる姿は、ある意味プロの家政夫顔負けで、私は驚きと感謝の気持ちでいっぱい。「実家に帰るより楽してるかも」とさえ思えるほどでした。
家族の役割に決まりはない
お舅さんのおかげで私は安心して産後を過ごせましたし、家族というものの柔軟さと温かさを改めて実感しました。子どもたちはおじいちゃんにすっかり懐いて、全員が「おじいちゃん子」。
今でも「スーパー舅」は子育てのサポーターとして頼りになる存在です。
【体験者:50代・女性会社員、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒヤリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大下ユウ
歯科衛生士として長年活躍後、一般事務、そして子育てを経て再び歯科衛生士に復帰。その後、自身の経験を活かし、対人関係の仕事とは真逆の在宅ワークであるWebライターに挑戦。現在は、歯科・医療関係、占い、子育て、料理といった幅広いジャンルで、自身の経験や家族・友人へのヒアリングを通して、読者の心に響く記事を執筆中。