これは筆者の友人Aさんから聞いたお話です。
「伝えたはずなのに、なんで知らないの?」
家族の予定共有でイライラしていたAさん。原因は、夫婦の「伝える」定義にズレがあったことでした。Aさんが実践した、ストレス激減の「見える化」術をご紹介します。

「言った・言わない」の泥沼! 爆発寸前だった妻の不満

Aさんの夫には、決して悪気があるわけではありません。しかし、学校の給食費の納入日、幼稚園の保護者会、週末のPTA活動など、家族にとって大切な予定を伝えても、夫はいつも「聞いてない」「知らなかった」と返すばかり。ある日には「なんで先生から直接連絡が来ないの?」「今週のこども会っていつ?」と逆質問が返ってくる始末。

「どうして家族の重要な情報なのに、私だけが背負わなきゃいけないの?」

真面目なAさんは、何度もメッセージを送り、口頭でも“伝えている”つもり。しかし、夫との認識のズレは埋まらず、ついに怒りが爆発しそうになりました。

「伝える」の定義が夫婦で違った!

冷静に考え直したAさんは、夫に「毎回私が伝達をしてるけど、どうしたら私が伝えたことを覚えててくれるの?」と聞いてみました。話を深掘りしていくと、夫にとって“伝達事項”とは「受け取ったり、話したりした時点で完了するもの」だったのです。

一方、Aさんにとって「伝達事項とは、それを受け取ったり話したりしたら、その物事の優先順位や内容を理解し、動くこと」。ここに、コミュニケーションの大きな落とし穴がありました。
つまり、夫は私から「〇〇があるからよろしく」だけではなく、「〇〇があるから、こうしてね」というところまで言われないと動けないタイプだったのです。

“見える化カレンダー”で工夫

「このままではお互い消耗するだけ」と考えたAさんは、良いアイディアを思いつきました。そこで作ったのが、家族共通の“見える化カレンダー”です。
リビングの壁に貼り、予定の内容や場所と時間、誰が担当するか、伝達日、既読(確認)チェック欄まで設けています。これで、誰がどこまで把握できているかはもちろん、伝達事項の重要性と必要な動きが一目でわかるはずです。

「お互い伝えたつもり、受け取ったつもり」の連絡だけで終わらせず、「本当に情報が共有されたか」を家族全員が目視で確認できる仕組みにしたのです。

夫の一言で変わった空気

カレンダー導入から数日後、夫が「今まで、ごめん。君に言われても、どれが重要で、いつまでにやるべきことなのか、ちゃんと理解していなかったみたいだ」とポツリ。

その言葉をきっかけに、カレンダーを見る習慣が自然と定着しました。Aさんも「いつでも自分で確認できるから、もういちいち口で言わなくていい」と気持ちが軽くなり、家庭内の空気が驚くほど穏やかになったのです。

「伝える」と「理解してもらう」は別物

この経験を通じてAさんが学んだのは、「伝えること」と「相手が理解していること(または行動できること)」はまったく別だという点。

一方的に情報を伝えるのではなく、お互いが同じレベルで理解し、共有できている状態こそが大事だと実感しました。今ではその“見える化カレンダー”をママ友に紹介し、「小さな工夫で家庭のストレスはぐっと減るよ」と勧めているそうです。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。