当然のことながら、旅行会社は旅行の手配をするのが仕事。しかし、ある新人スタッフの何気ない一言が、その場にいた全員の動きをピタッと止めました。「地理の基礎」に対する認識のズレが露呈したことで、職場の「基本中の基本」を見直すきっかけになったのです。
新人の衝撃発言
旅行会社に勤めていた頃のことです。
仕事では、海外旅行の手配をすることも多くありました。
そんなある日、同僚と雑談をしていた新人スタッフが突然
「え? インドってアメリカの下側じゃないんですか?」
と口にしました。
仕事柄、国の位置関係は大体の社員が把握している環境のため、私達は一瞬、その間違いに目を丸くしてしまいました。
慌てて説明するも……
私は慌てて
「インドは南アジアだよ。日本から見るとアメリカとは反対側、ヨーロッパの手前にある国」
と説明しました。
ところが新人は首をかしげたまま、どうもピンときていない様子。
私自身も「地理が苦手な人もいる」と頭では分かっていたものの、「もし勘違いしたままお客様に案内をしてしまったら......」と思わず冷や汗をかいてしまいました。
そこで、新人社員に急いで世界地図を見せ、早速説明をすることに。
「ブラジルの隣かと思っていた」という認識をそこで正すことができました。
広がる不安と危機感
もし国の位置を誤解したまま仕事をしていたら、トラブルにも発展しかねません。
特にインドは1か国だけで旅行するケースが多い国です。ヨーロッパ周遊のように「隣国との位置関係」を調べる必要がなく、知識の盲点になりやすいのだと気づかされました。
基本の「基」こそ、仕事の土台になるものだと痛感したのです。
しかし、知識の幅や理解度は人それぞれ。新人となれば尚更でしょう。
会社として、社員がしっかりと基礎を学び、安定した業務を提供できるよう環境を整える必要があると思いました。
基本を見直すきっかけに
その出来事をきっかけに、すぐに大きな世界地図を購入し、オフィスのホワイトボードに貼り出しました。
新人だけでなくベテランも一緒に確認できるようにしたことで、自然と
「この国はどこだっけ?」
と会話も生まれるように。
新人スタッフの思わぬ一言が、職場全体の基本を見直すきっかけになりました。
【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。