入社して最初に教わったこと
私が新入社員として入社したばかりのころ、まず教わったのが「電話対応」でした。
社名の言い方から、保留の仕方、担当への取り次ぎ方をマナー研修でしっかり叩き込まれ、“電話は新人の仕事”といわんばかりの空気がありました。
そのため私も一生懸命、なるべく1コールで受話器を取り、失敗しないようにと毎日対応していました。
先輩も上司も動かない現実
ところが、ある日ふと気づいたのです。
私が電話を取るのが当たり前になっていて、同じ島にいる先輩や上司は、全く電話を取らないことに。
私が書類に目を通していても、トイレに立ったときでさえ、電話は鳴りっぱなし。
誰も動こうとしません。
「さすがに私がいないときくらいは取ってほしい」と内心思いながらも、当時の私は新人。
そんなことを口にする勇気もなく、ただモヤモヤするばかりでした。
返ってきた“まさかの言い分”
そんなある日、たまたま先輩と2人になったときに、思い切って聞いてみたのです。
「私が離席しているときは、電話、取ってくださらないんですか?」
すると返ってきた答えは、
「いや〜、もう電話の取り方、忘れちゃっててさ」
という驚きの一言。
なんと、電話対応を長らく新人任せにしていたため、外線の取り方すら覚えていないと言うのです。
驚くというより、あきれてしまいました。
そして私が出した答え
いくら「電話は新人の仕事」とはいえ、社会人である以上、基本的な電話対応くらいはできて当たり前なのでは?
しかも先輩や上司ともあろう人が、取り方を“忘れた”なんて。
結局それ以降も、電話はほとんど私の仕事として定着。
新人時代に一番緊張したのが電話応対でしたが、今思えば「電話=新人の仕事」と決めつけてしまう職場の風潮こそ、問題だったのかもしれません。
それが原因ではありませんが、私は1年でその職場を辞めてしまいました。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。