見た目や服装のスタイルは、その人の個性を表す大切な一面です。けれど、時にはつい偏見を抱いてしまうこともありますよね。今回は筆者の知人が、そんな偏見を恥じることになったというエピソードを聞かせてくれました。

その時です。

「皆様、お静かにお願いいたします」

C美さんの凛とした声が響き渡り、親戚たちを制止してくれたのです。

見た目の奥にあるもの

それからC美さんは、葬儀社との打ち合わせから香典の管理、返礼品の手配まで、全てを滞りなく仕切ってくれました。

気難しいことで有名な伯父さえも「あの子は大したもんだ」と舌を巻くほどの見事な立ち居振る舞いに、私はただただ圧倒されるばかりでした。

後で息子に聞いた話ですが、C美さんの実家は代々続く由緒ある老舗旅館で、彼女自身も幼い頃から厳しく礼儀作法を叩き込まれていたそう。

しかし、両親の他界と経営難により旅館は閉業。
それまで真面目に生きてきた彼女は、やっと肩の荷を下ろし、その反動もあって、憧れていたギャル風のファッションを楽しむようになったのだとか。

つまらない偏見を捨てて

その話を聞いた時、私は自分の偏見を心の底から恥じました。
見た目だけで彼女を判断し、ずっと心の中で見下していた自分が、あまりにも小さく、情けなく思えたのです。

ギャルが悪いわけではありませんし、ギャル風のスタイルも、彼女の魅力的な個性の一部。
それに気付けたことは、私にとって大きな学びになり、本当に良かったと思います。

【体験者:60代・女性主婦、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。