傘の忘れ物
バスを降りようとした時のこと。前方に座っていた人が、座席に傘を置き忘れたまま降りてしまいました。
ちょうど私も同じバス停で降りる予定だったため、「渡さなきゃ!」と咄嗟にその傘を掴み、慌てて追いかけることに。
小走りで追いついて、善意100%で「傘、お忘れですよ」と、渡したのですが……。
思わぬ一言
返ってきた言葉は
「それ、私のじゃないです」
えっ? と頭が真っ白に。どうやら、その人の座った席にもともと傘が置かれていただけだったようなのです。
気まずさで、私は顔が真っ赤になりました。
小さな親切大きなお世話
急いで運転手さんに預けようと振り返った時には、バスはすでに発車した後でした。
持ち主不明の傘を置きっぱなしにもできず、仕方なく一旦自宅に持ち帰ることに。
「傘の持ち主が探しているかもしれない」そう思うと落ち着かず、結局自転車に乗り換えて、2キロほど離れた営業所まで届けることにしました。
勘違いの後始末
いいことをしたつもりが、完全な私の早とちり。
結局、傘は営業所で無事に引き取られたのですが、私はすっかり汗だく。思わぬおせっかいで体力だけが奪われ、「次からは勘違いでも、もう少し冷静に…」と心に誓ったのでした。
小さな親切が大きなお世話になってしまったけれど、この一件から、何か行動する前に一度立ち止まって考えることの大切さを学びました。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒヤリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大下ユウ
歯科衛生士として長年活躍後、一般事務、そして子育てを経て再び歯科衛生士に復帰。その後、自身の経験を活かし、対人関係の仕事とは真逆の在宅ワークであるWebライターに挑戦。現在は、歯科・医療関係、占い、子育て、料理といった幅広いジャンルで、自身の経験や家族・友人へのヒアリングを通して、読者の心に響く記事を執筆中。