突然の異変
休日の午後、夫が運転する車でいつものように出かけていたときのことです。
信号待ちでふと助手席から隣を見ると、夫が徐々に前のめりになり、ハンドルから手がダラリと落ちました。
ギョッとして夫の名前を呼んでも反応がなく、私はとっさにサイドブレーキを思い切り引き、ハザードランプを点灯させました。
幸い、事故にはなりませんでしたが、全身が震え、心臓がバクバクしていたのを今でも鮮明に覚えています。
意外な診断結果
夫はすぐに救急搬送され、脳梗塞や心臓発作を疑われましたが、検査の結果は意外なものでした。
病名は「睡眠時無呼吸症候群」。
夫は普段からいびきが異様に大きかったのですが、私は「お酒も飲んでいるし、疲れているからだろう」と軽く考えていました。
しかし、実際には夜中に何十回も呼吸が止まり、血中酸素濃度が低下していたというのです。
酸欠状態で熟睡できず、昼間に強烈な眠気に襲われる……その積み重ねで、運転中に突然眠り込んでしまう「マイクロスリープ」という状態になっていた可能性が高いことが分かりました。
ただのいびきだと思って気にしていなかったことが、こんなにも恐ろしい危険を抱えていただなんて。本当に衝撃的でした。
軽視できないリスクの数々
医師の話によると、「ただのいびき」と放置する人はとても多いのですが、睡眠時無呼吸症候群は、高血圧や心筋梗塞、脳卒中のリスクも高めるのだそうです。
特に、日中に強い眠気がある人は要注意だと言われ、夫の症状がまさにそれでした。
改めて、体からのサインを決して見過ごしてはいけないと痛感させられた瞬間でした。
早期発見の大切さ
夫はその後、CPAP(シーパップ)と呼ばれる機械を用いた治療を行うことになりました。
鼻につけたマスクから空気を送り込み、寝ている間も気道を確保する方法です。
使い始めてからは、あんなにひどかったいびきがピタリと止まり、朝もスッキリ起きられるようになりました。
夫の生活の質は劇的に向上し、「前は仕事中もぼんやりしていたんだな」と自覚したようです。
今では定期的な通院を欠かさず、夫婦で健康に気を配っています。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。