やっぱりエレベーターを待てば良かったかな……。
そんな時手を差し伸べてくれたのは。
今回は筆者が実際に体験した出来事をお届けします。
子連れの外出は大荷物
娘が生後8か月の頃、事情があり私と娘のみで遠方の実家へ帰省することになりました。
出発当日、時間に余裕を持って家を出たのですが、途中で電車の遅延があり、予定がズレ込んでしまいました。
目的の駅に到着すると、改札出口へのエレベーターを待つ行列が長く続いているのが見えました。
乗り換えの時間が迫っていたこともあって、私は階段を利用することに。
抱っこ紐に子供、右手に折り畳んだベビーカー、左手に旅行用の大きなバッグ。
長く伸びる階段を見て、
「結構あるなぁ……」
内心怖気づきますが、意を決して上り始めました。
手を差し伸べてくれたのは
すると、半分近く上った時に横から、
「大丈夫ですか? 持ちますよ」
私と年の頃が近い女性がサッとベビーカーを持ってくれました。
荷物の重さと階段のキツさに息を切らしていた私は、
「あ、ありがとうございます!」
驚きと感謝の気持ちで泣きそうになりました。
階段を上り切ると女性は、
「私、小学生の子供がいるんですけど、赤ちゃんの頃は色々な人に親切にしてもらったんです。だから今度はその恩返しのつもりで何かお役に立てたらって」
繋いでいきたい
「お気をつけて!」
女性は素敵な笑顔を残して去って行きました。
人から受けた親切を繋いでいくこと。
私もそうありたいと胸の奥が温かくなった出来事でした。
【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:田辺詩織
元医療事務、コールセンター勤務の経験を持つ在宅ワーカー。文学部出身で、文章の力で人々を励ましたいという思いからライターの道へ。自身の出産を機に、育児ブログを立ち上げ、その経験を生かして執筆活動を開始。義実家や夫、ママ友との関係、乳幼児期から中学受験まで多岐にわたる子育ての悩みに寄り添い、読者が前向きになれるような記事を届けている。