これは筆者自身の体験です。
4歳の息子の支度を「時間がないから」とすべて私がやっていた日々。丁寧な子育てだと思い込んでいましたが、幼稚園で友達に「R君って一人で何も出来ないんだね」と言われた言葉にハッとしました。過保護が成長の機会を奪っていたと気づかされた出来事です。

息子に全部やってあげていた日々

「危ないからだめ!」「時間がないからママがやるね」子育てをしていると、つい子どもが挑戦する前に親が手を出してしまうこと、ありますよね。私もそうでした。4歳の息子に対して、着替えから食事、靴を履くことまで、出来るだけ私がサポート。それが「丁寧な子育て」だと信じていました。特に朝の支度は戦場のようで、息子が自分でやると時間がかかるため、パジャマを脱がせ、シャツを着せ、ズボンを履かせ……気づけば全部私がやってしまっていたのです。

友達の言葉にハッとする→モヤモヤ

そんなある日、幼稚園で息子が友達から言われた一言を耳にしました。
「R君って一人で何も出来ないんだね」
その瞬間、私は言葉を失いました。息子が受け身のまま過ごしているのは、もしかして私がやりすぎたせい? 成長のチャンスを私自身が奪っていたのではないか……。そう思うと胸が痛み、強いモヤモヤが残りました。愛情のつもりが、逆に子どもの可能性を狭めていたのかもしれないと気づいたのです。

少し距離を置いて「自分で」を促す

そこで私は子育てを見直す決意をしました。翌朝から少し早く起き、「まず自分でやってごらん」と声をかけるようにしました。最初は戸惑っていた息子も、ボタンを留められたときには「出来た!」と笑顔に。ご飯も少しずつ一人で食べるようになり、今では「ママ、手伝わなくていいよ」と言うこともあります。出来なかったことが出来るたびに、息子の表情はどんどん自信にあふれていきました。

子どもの成長を「見守る勇気」

この経験から学んだのは、「子どもは育てるものではなく、引き出すもの」ということ。過保護は愛情の裏返しでも、やりすぎれば自立を妨げてしまう。手を出すより、一歩下がって見守ることの大切さを実感しました。
「かわいい子には旅をさせよ」という言葉がありますが、まさにその通り。今では息子の挑戦する姿が、私にとって一番の喜びです。手を出す前に「まず自分でやってみる?」と声をかける。その小さな勇気が、子どもの大きな成長につながるのだと心から感じています。

【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。