わが家の4歳の息子は、お菓子を見つけるとあっという間に全部食べてしまう癖がありました。欲張りだからだと思い込んでいた私でしたが、理由を尋ねると「パパやママに取られるかもしれないから」との答えにハッとしました。子どもの行動の裏にある“安心感”の大切さに気づかされた出来事です。
息子のお菓子好きに悩まされて
わが家の4歳の息子にはちょっと困った癖がありました。家にお菓子を置いておくと、目についたものを次々に食べ尽くしてしまうのです。チョコレートにクッキー、せんべいまで、気づけば袋は空っぽ。私や夫のおやつ用に買っておいたものまでなくなってしまい、「また全部食べちゃったの!?」とつい声を荒げることもありました。そのため家にお菓子をストックできず、急な来客時に出すものがなくて困ることも多かったのです。
予想外の息子の本音→モヤモヤ
「どうにかしなければ」と思い、ある日、息子に聞いてみました。「どうして全部食べちゃうの?」と。すると返ってきたのは意外な答えでした。
「だって、置いておいたらママやパパに食べられちゃうかもしれないでしょ? だから先に食べちゃうの!」
私は衝撃を受けました。息子はただの“食いしん坊”なのではなく、“取られるかもしれない不安”から一気に食べていたのです。私はこれまで「欲張りだから」と決めつけていた自分にモヤモヤを感じました。
専用ボックスで安心を与える作戦
そこで考えたのが「息子専用のお菓子ボックス」を作ることでした。「この箱に入れたお菓子は、ママもパパも食べない。君だけの特別なお菓子だから安心して入れておいていいよ」と伝えると、息子は目を輝かせて「やった! 僕の箱だ!」と大喜び。お気に入りのお菓子を大事そうに並べ始めました。その日から、息子はお菓子を一気に食べることがなくなり、少しずつ楽しむようになったのです。むしろ「今日はどれを食べようかな」と眺めている時間の方が長いくらいでした。
行動の裏にある気持ちを知る大切さ
この経験から学んだのは、子どもにとって「安心感」が何より大切だということです。親からすればただのお菓子でも、子どもにとっては“自分だけの宝物”。奪われるかもしれない不安があると、余計に守ろうとして全部食べてしまうのです。大人だって、自分の居場所や安心があるからこそ心が落ち着きますよね。
子育てをしていると、つい「ダメ!」「我慢して!」と言ってしまいがち。でも、行動の裏にある子どもの気持ちを知れば、解決の糸口が見つかる。わが家にとってお菓子ボックスは、安心と信頼をつなぐ“魔法の箱”になったのです。
【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。