家にいつも誰かが出入りする環境で育った農家の友人。子どものころは当たり前だったその光景が、中学に上がると嫌でたまらなくなって……。友人が、貴重な体験談を語ってくれました。
祖母の死後に訪れた静けさ
私が高校生になって間もなく、祖母は病気で亡くなりました。
すると不思議なほど、わが家の土間に立ち寄る人は誰もいなくなったのです。
祖母がいたからこそ、みんなが集まり、笑い、愚痴をこぼしに来ていたのだと気付きました。
ぶっきらぼうな祖父や父にはできない役割を、祖母は担っていたのです。
「知らない人がいて嫌だ」としか思えなかった子どものころ。
けれど今は、祖母の役割の大きさを痛感し、涙が出ます。
あの土間のにぎやかさこそ、祖母が生きていた証だったのだと、しみじみ思います。
【体験者:20代女性・大学生、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。