エレベーターに乗ろうとした瞬間、割り込んできた若い女性に「邪魔」と罵られ、乗車を拒否されてしまいます。
悔しさで涙が出そうになったその時、周囲の人のある一言が、B子さんの心を救ってくれました。
ベビーカーでの移動は一苦労
先日、生後半年の娘を連れて、電車で買い物に出かけた時のことです。
荷物もあるので、ベビーカーを押しながらの移動はなかなか大変。
夫がいればいいのですが、この日は私ひとりでした。
「ふう、あとちょっとで帰れる」
やっとのことで電車から降りた私は、改札へ向かうエレベーターに向かいました。
ちょうど来たエレベーターの中には、すでに人が乗っていたので、次に乗ろうと一度見送り、順番を待つことに。
少し移動するのにも、子連れだと気を遣うなぁ、なんて思っていると、再びエレベーターが到着しました。
今度は中に人は乗っておらず、ほっとして乗り込もうとすると――。
子連れは邪魔? 悔しい……!
突然、横から若い女性がスッと割り込んできました。
女性はエレベーターに乗り込むと、物凄い勢いで「閉」ボタンを連打。
思わず扉に手をかけ、声をかけました。
「すみません、並んでいたので、乗りたいのですが」
すると彼女は私を睨みつけ、こう言い放ったのです。
「こんな混んでいる時間に、大きなベビーカーで場所とって、邪魔なのよ。急いでいるので、次にしてもらえます?」
扉は閉まり、その女性を乗せたエレベーターは、私たち親子を残して上がっていってしまいました。
「お母さん、えらかった」に思わず涙
女性に言い返すこともできなかった私は、エレベーターを見送りながら、悔しさを噛みしめていました。
本当なら絶対に引きたくないところでしたが、逆上され、子どもに危害を加えられることを恐れたのです。
「なんで、こんな扱いを受けなきゃいけないの?」
やり場のない思いが胸にこみ上げます。
すると、私のすぐ後ろに並んでいた年配の女性が、静かに声をかけてくれました。
「大丈夫、大丈夫。次のに乗ろう。赤ちゃんが一番大事だもんね。お母さん、よく我慢したね。えらかったわよ」
思わず涙が出そうになりました。
「ありがとうございます」
優しさに、日々感謝
世のお母さんたちの大変さを、子どもができて初めて知りましたが、それと同時に、人のあたたかさにもたくさん触れるようになりました。
駅でさりげなくドアを押さえてくれた人。
レジで並んでいた時に「先にどうぞ」と譲ってくれた人。
泣いてしまった子どもに「元気ね〜」と笑いかけてくれた人。
あの一件だけでなく、心が折れそうな時、人の優しさに何度も救われました。
大変なこと、理不尽な思いをすることもたしかにありますが、それ以上に、周囲のみなさんのおかげでまた頑張ろうと思えるのです。
日々周りに感謝しながら、今日も私は子育てに奮闘中です!
【体験者:30代女性・専業主婦、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。