人生で一度きりの大切なイベントには、つい理想を詰め込みすぎてしまうもの。ですが、その「理想」と「現実」の差に後から気づくことも少なくありません。今回は、結婚式をめぐる筆者の友人のエピソードをご紹介します。

理想はSNS映えウェディング

私の夢は、豪華な式場で、お姫様のようなドレスを着て、家族やたくさんの友人に祝福されることでした。

SNSで「いいね」がたくさんつくような、最高の結婚式。
式場から出された見積もり額には一瞬怯みましたが、「両親も少しは援助してくれるし、ご祝儀でトントンになるはず」という甘い計算が判断を鈍らせました。

夫は「高すぎない?」と心配していましたが、「一生に一度なんだから!」と私が押し切り、強引に話を進めてしまったのです。

母のブレーキは無視!

ウキウキ気分で準備を進める私に、母は何度も「ちょっと派手すぎるんじゃない?」「身の丈に合った式が、後々のためよ」と釘を刺してきました。

幸せな気持ちに水を差す母の言葉に、私は内心イライラ。
「お母さんの時代とは違うの!」と聞く耳を持たず、反抗的な態度ばかり。

その時の私には、母のありがたいアドバイスも、ただの古臭い価値観を押し付ける“おせっかい”にしか聞こえなかったのです。

夢の夜が一転

結婚式当日は、本当に夢のようにきらびやかで、最高の1日でした。
友人たちからの祝福を浴びて、私は人生で一番輝いていました。

しかしその夜、式場のホテルでご祝儀袋を開け始めたら……あれ?! 全然足りない!
開けても開けても、思っていた金額には到底届きません。

慌てて「あなたのご両親から少しは援助してもらえるよね?」と夫に聞くと、「何それ、うちはそんなに余裕があるわけじゃないし、無理だよ」と追い打ちをかける一言。

数十万円の大赤字という現実に、頭が真っ白になりました。

理想の結婚式の皺寄せは……

結局、私たちは赤字を埋めるために、楽しみにしていたハネムーンをキャンセルするしかありませんでした。

夢のような夜から一転、お金のことで夫婦喧嘩となり、結婚初夜は修羅場に……。

その時、ふと母の言葉が頭をよぎりました。
あれは、ただの小言ではなく、未来を見抜いた予言だったのです。

結婚式は一生に一度のもの。ですが、無い袖は振れません。

笑い話にできる日はまだ先かもしれませんが、あの日の赤字は、人生で1番高い勉強代になりました。自分の甘さと未熟さに、今思い出しても反省ばかりが募ります。
皆さんも気をつけてくださいね。

【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。