実家ばかりに頼る嫁にイライラ
フミコさんは、息子の嫁・ミクさん(仮名)が何かにつけて実家に頼ることにイライラしていました。
子育ての相談、家事のやり方、買い物まで、すべて実母に電話。
「私という姑がいるのに、なぜ実家ばかり?」
と疎外感を抱いていたのです。
最初は「若い人はそんなものか」と流そうとしていましたが、積み重なるたびに心は重くなっていきました。
「せっかく同居しているのに……」
偶然聞いた嫁の本音
そんな思いが日に日に募っていったのです。
ある日、ミクさんが実母と電話している内容を、フミコさんは偶然耳にしてしまいました。
「お義母さんに迷惑かけたくないから、ママに頼ってばかりでごめんね」
「お義母さんは料理も掃除も完璧だから、嫁の私なんかが相談したら呆れられそう」
思いがけない言葉に、フミコさんはその場で立ち尽くし、涙が止まりませんでした。
胸の奥で渦巻いていたイライラは、一瞬で切なさへと変わっていったのです。
「こんなにも気を遣わせていたなんて……」
心を開いた二人の関係
翌日、フミコさんはミクさんに声をかけました。
「私で良ければ、何でも相談して。あなたは大切な家族よ」
その言葉にミクさんも涙ぐみ、
「本当は色々聞きたかったんです」と素直な気持ちを打ち明けました。
それ以降、二人の関係は劇的に改善。
「フミママ」「ミクちゃん」と呼ぶほどに。
今ではまるで本当の母娘のような仲です。
一緒に料理を作ったり、孫の世話を分担したり。
フミコさんにとっても、心から頼りにされる喜びを実感できました。
嫁の本当の気持ちを知って
フミコさんが学んだのは、完璧さがときに相手を遠ざけてしまうということでした。
長年の経験と自信が、知らず知らず壁を作っていたのです。
嫁の本音に気づいた今
「もっと早く耳を傾けていれば」と振り返るフミコさん。
人生経験を重ねても、人の心は読み違えることがある。
けれど気づいた瞬間から、関係は温かくやり直せるのだと実感したそうです。
【体験者:70代・女性/主婦、回答時期:2025年01月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:神野まみ
フリーランスのWEBライター・コラムニスト。地域情報誌や女性向けWEBメディアでの執筆経験を活かし、医療・健康、人間関係のコラム、マーケティングなど幅広い分野で活動している。家族やママ友のトラブル経験を原点とし、「誰にも言えない本音を届けたい」という想いで執筆を開始。実体験をもとにしたフィールドワークやヒアリング、SNSや専門家取材、公的機関の情報などを通じて信頼性の高い情報源からリアルな声を集めている。女性向けメディアで連載や寄稿を行い、noteでは実話をもとにしたコラムやストーリーを発信中。