私の母、あの時の思い
20代の頃、今の夫と出会い、結婚を考えるようになった私は、母に「彼に一度会ってほしい」とお願いしました。すると母は、「どんな人なの? 年齢は? 出身は? どこで働いているの?」と矢継ぎ早に質問をしてきました。最初は「心配してくれているんだろうな」と思い、軽く受け答えしていました。でも次第に質問が深い内容になり、収入や家族構成、過去の恋愛経験にまで及ぶと、さすがに「知らないよ!」と答えてしまいました。
母のしつこさに反発して
それでも母は食い下がって、「もっと教えてよ」と言い続けました。私はだんだんと面倒になり、「なんでそんなに知りたがるの?」と反発心が芽生えました。心の中では「私の人生だし、好きにさせてよ」と思いながら、その時は母の深い愛情に気づくことはありませんでした。素直になれず、少しイライラしていました。
時が経ち、気づいた母の気持ち
年月が経ち、私にも子どもが生まれました。息子が成長し、将来のことを考えるたびに、あの時の母の言葉が胸にしみます。いつか息子が恋人を連れてきたとき、私も母のように質問攻めをしてしまうかもしれません。だって本当に、「息子には幸せになってほしい」と心から願っているから。
母の深い愛情に感謝
今、私は夫と息子と3人で毎日笑い合っています。息子が元気に遊んでいる姿を見るたびに、あの時の母の愛情があったからこそ、今の私たちがいるんだなと実感します。あの頃は「うるさいな」と思っていた母の「しつこさ」が、今では「深い愛情」だったことがわかるのです。あの時、素直になれなかったけれど、今なら「ありがとう」と心から言いたい気持ちでいっぱいです。
母の深い愛情に気づき、今、私は息子に対してもその愛を伝え続けています。子どもの成長に「正解」はないけれど、それぞれが幸せに成長できるように、温かく見守り続けたいと思っています。
【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。