地域の子ども食堂に行った日のこと
先日、4歳の息子と一緒に地域の子ども食堂へ行ってきました。子ども食堂は、経済的に困っている家庭や栄養のある食事をとるのが難しい子どもたちを支援する場所です。そこで、子どもとその保護者は無料で食事をいただけます。会場に到着すると、温かいご飯やお味噌汁、揚げ物やサラダが並び、親子連れや地域の子どもたちが和気あいあいと食事を楽しんでいました。スタッフの方々も笑顔で迎えてくれ、アットホームな雰囲気にほっとしました。
一人で食事をしていた女性の行動
その中で、ふと視線の先に大人一人で食事をしている女性を見かけました。子ども食堂といえば、子どもとその保護者が対象だと思っていたので、少し驚きました。その女性は黙々と食事をし、なんと3回もおかわりをしていたのです。ご飯をかき込む姿に、周囲の子どもたちもちらちらと視線を向けていました。食べ終わった女性は、満足そうにそのまま出口へ向かいました。その姿を見て、「もしかしたら、何か事情があったのだろうか」と、私の中に疑問が残りました。
支援のルールに従わないことへの対応
その後、スタッフが女性を呼び止め、耳を澄ますと、大人だけの利用は1000円の料金が必要だという説明がありました。実は以前、大人だけが無料で利用する人が増え、本当に支援が必要な子どもたちに食事が届かなくなる事態があったため、ルールが変更されたのだそうです。女性は「最初に言ってくれれば……」と小声でつぶやきながらも、周囲の視線を気にしてか、しぶしぶ1000円を支払い、足早に帰っていきました。
ルールを守ることの大切さ
その場面を目にして、なぜ大人にも料金が必要なのか、ルールの意図を理解することができました。せっかくの支援制度が、特定の利用によって不安定になるのは避けなければならないことです。限られた資源を守るためには、こうしたルールや対応が欠かせないと改めて感じました。本当に支援が必要な人たちが安心して利用できる場所であり続けるために、運営側と利用者の双方に理解と配慮が求められると強く感じた出来事でした。
【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。