息子の友だちが遊びに来ることに
ある日、友人のHさんが小学1年生の息子と一緒に過ごした日の出来事を聞きました。その日は、近所に住むクラスメイトのB君が遊びに来ることになったのです。息子は嬉しそうに迎え入れ、お菓子とジュースを用意したHさんは、リビングで2人の様子を見守っていました。30分ほど遊び始めた後、B君がふとキッチンに向かって歩いていきました。
予想外の行動、冷蔵庫を勝手に開けて
「何してるんだろう?」とHさんが思って振り向くと、B君が冷蔵庫の扉を開け、何のためらいもなく牛乳を取り出してコップに注ぎ始めていました。それを見たHさんは、驚きながらも「牛乳飲みたかったの?」と声をかけました。すると、B君は悪びれた様子もなく、「うん、おばあちゃんちではいつもこうしてるから」と答えたのです。その瞬間、Hさんは「うちではこうしてほしい」と心の中で感じつつも、どう対応するか悩みました。
「家によってルールは違う」という大切な気づき
まだ小1のB君に、いきなり叱るわけにもいかず、Hさんは「うちではね、冷蔵庫の中のものを食べたいときは一言かけてくれると助かるな」とやわらかく伝えました。B君は素直に「わかった」と返事をし、その後はちゃんとHさんに聞いてから飲み物を取るようになったそうです。
その後、Hさんは息子にこの出来事を話し、息子から「B君はおばあちゃんの家では自由に取っているんだよ」と教えてもらいました。B君には悪気は全くなく、ただ自分の「普通」を持ち込んだだけだったのです。
親として学んだ「お互いに気持ちよく過ごすために」
この出来事を通じて、Hさんは「家によってルールが違うこと」を実感しました。特に子ども同士のやりとりでは、どんな「普通」を持っているかを知ることが大切だと気づいたのです。頭ごなしに否定するのではなく、「うちではこうだよ」とやわらかく伝えることで、相手も気持ちよく過ごすことができると感じました。
それ以来、Hさんは友だちが来る際に、「飲み物はここにあるけど、取るときは一言声をかけてね」と軽くルールを伝えるようにしています。小さなことですが、気持ちよく過ごすための大切な一歩だとHさんは感じています。
【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。