子どもたちの個性を見守る毎日
私は保育士をしています。
集団で子どもたちを見ていると、本当にいろんな個性があると日々感じます。
得意なこと、苦手なこと、ひとりひとり違って当然です。
ただ、今のご時世、たとえ発達に心配な点が見えても、こちらから余計なことは言わないのが私たちの園の方針。
保護者の方から相談を受けた時のみ、市の保健師さんをご紹介するという流れになっています。
保護者に怒鳴られ生まれた、園のルール
というのも、過去にある出来事がありました。
ある先生が、あるお子さんについて「少し気になる点があるので、一度保健師さんに相談してみては」とお母さんに声をかけたところ、「うちの子がおかしいって言うんですか!?」と激しく怒鳴られ、大きな問題になってしまったのです。
その先生にはもちろん悪気はなく、むしろお子さんのことを真剣に考えていたからこその声かけでした。
でも、結果的に園全体としての信頼にも影響し、それ以来「こちらからは発達に関することは触れない」というルールができたのです。
伝えたい思いと、保護者の気持ちのはざまで
正直、もどかしいなと思うこともあります。
例えば「列に並ぶのが苦手」「気になることに集中しすぎる」「人との距離感がわかりにくい」など。
お子さんの性格や成長のペース、環境もあるので一概には言えません。でも、集団の中にいるからこそ見えてくることもあります。
でも、それをすべての保護者の方が「知りたい」と思っているわけではない、ということもまた現実。
「うちの子だけできていない」と感じた時の保護者の不安。
「発達」という言葉に、必要以上に傷ついてしまう方もいます。どちらも決して他人事ではありません。
だからこそ、もしほんの少しでも「困っていることがある」と保育士に打ち明けてもらえたら、私たちはとてもありがたいと感じます。
子どもがより過ごしやすくなるように、私たち保育士も一緒に考えることができますから。
【体験者:50代・女性保育士、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。