問いかけの先にあったのは、思わず涙がこぼれるような切ない本音でした──。
今回は筆者の知人から聞いた、家族の想いがすれ違ったエピソードをご紹介します。
帰りが遅くなった夫
最近、夫の帰宅時間がどんどん遅くなっていることにモヤモヤを抱えていました。
仕事が忙しいのはもちろん分かっていたのですが、それまで以上に息子が寝たあと、深夜ともいえる時間にこっそり帰ってくる夫。
私とのLINEもそっけなく、まるで避けられているような気がして、少し疑心暗鬼になっていたのです。
『ただでさえワンオペ育児が大変なのに』
『夫ばかり自由時間が多くてずるい!』
『もしかして不倫?』
そんな不満が抑えきれなくなったある日、意を決して、
「最近、なんでそんなに帰りが遅いの?」
と尋ねてみることに。
夫は少し戸惑った様子ではじめは誤魔化そうとしていましたが、私の涙に思うところがあったのか、ようやく本音を語ってくれました。
夫の想い
「帰宅して寝室に行くと、ちょうど寝かしつけの真っ最中で息子が起きちゃっていただろ?」
「俺のせいで君のため息とか、不機嫌そうな顔を見るのが辛くなっちゃって」
その瞬間、不倫などではないとホッとしたのも束の間、夫の想いに胸がギュッと締めつけられました。
夫はただ、愛する息子の寝顔を一目見たいだけだったのです。
それなのに、私は寝かしつけのプレッシャーで余裕がなく、無意識に夫を遠ざけて邪険に扱ってしまっていました。
そのせいで夫もなかなかすぐには帰宅しづらくなり悩んでいたとのことでした……。
対策
それ以降、夫には帰宅前に連絡をするようお願い。
寝かしつけのタイミングを避けて息子と対面できる時間を調整しました。
加えて、夫婦の時間もなかなかとれていなかったので、朝は少し早く起き、2人きりで過ごす時間を意識的に作るようにしたのです。
想い合い
この出来事を通して学んだのは、“家族との関わり方”には正解がないということです。
夫も父として子どもを想い、私とは違う形で向き合い悩んでくれていました。
その想いを受け止め、私ももっと“パートナーとしての余裕”を持てる母でいたいと思った出来事でした。
【体験者:30代・女性パート主婦、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にltnでヒアリングと執筆を行う。