あのときの決断が、思わぬ形で家族の絆を変えていくことに──。
今回は筆者の友人から聞いた、親子の絆と成長を描いたほっこりあたたかいエピソードをご紹介します。
父の反対
これは遡ること、高校卒業後、国際ボランティアへの参加を考えていたときのお話です。
前々から『海外で困っている人の役に立ちたい』『日本以外の国で生活してみたい』との夢があった私。
でも、そのことをいざ両親に相談すると、父からは強く反対されてしまいました。
「危ないから止めなさい」
「就職か大学が先だ」
当時の私は反抗期だったこともあり『親って何でも反対する』としか思っておらず、正直うっとうしく感じていたのです。
強引に押し切った
父が反対する一方で、母は応援してくれました。
「お父さんの想いも分かるわ」
「でもあなたが本気なら頑張ってみなさい」
と背中を押してくれたのです。
でも父を説得するどころか話し合いすらまともにできないまま、時間だけが流れて行きました。
そのまま結局、父には黙って申し込み、合格通知を受け取ったタイミングで報告したのです。
父は顔をしかめていたものの、
「もう決めたなら、せめてちゃんと連絡はしろよ」
と一言返してくれました。
貴重な経験
いざ赴いた現地では、文化の違いに戸惑ったり言葉の壁も多かったりしましたが、同じ志を持つ仲間に支えられ、視野が大きく広がりました。
帰国後、その経験が評価され、国際系の企業に採用も無事に決まったのです。
父から反対されて悩んだものの、あのときの挑戦が今の自分をつくったといえる、貴重な経験ができました。
それから数年後、久々に実家で酒を飲んでいたとき、父からポツリと本音を打ち明けられました。
父の想い
「娘をすぐに助けに行けないところにやることがとにかく心配で仕方なかった」
「あのとき本当に行ってよかったな」
ずっと父に対して後ろめたい気持ちがあっただけに、予想外の言葉を受けて胸が熱くなりました。
親はときに保守的で厳しく感じることもありますが、それは“我が子を守りたい気持ち”の裏返しだとようやく気づいた私。
今は父に対しても素直になんでも話せるようになりました。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にltnでヒアリングと執筆を行う。