人生にはたくさんの分かれ道があります。悩みながらも選んだ道を歩んでいくものの、ふとした瞬間に「もしもあの時、別の道を選んでいたら」と思うこともありますよね。今回は、筆者の知人のエピソードをご紹介します。
思いがけない出会いがきっかけに
そんな私の転機は、50代になったある日のことでした。
自治会の役員を引き受けた私は、地域イベントの手伝いで、近所の小学生たちと工作をすることになったのです。
材料を配り、不器用な手つきをそっと手伝う私に、完成した作品を得意げに見せてくれる子どもたち。
彼らに微笑みかけるうちに、私の心に思いがけない温かさと充実感が広がっていきました。
「ああ、そうか。母親でなくても、誰かの成長や喜びに関わることはできるんだ」
そう気づいた瞬間でした。
私が選んだ幸せのかたち
あの日から数年。
イベントで知り合った子どもたちの成長を、近所の住人として見守り続けるのが私の密かな楽しみになりました。
「親になる道を選ばなかったこと」は、もう後悔ではありません。
私の人生は、私がこれまで関わってきた大切な人たちの笑顔で、十分すぎるほど温かい。
そう気づけた時、やっと「親にならない」選択をした自分を、心から肯定できるようになりました。
【体験者:50代・女性会社員、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。