従姉
私は小学生の頃、父方の伯母の家の近所に住んでいました。
この伯母はかなり癖の強い人。
私はあまり好きではありませんでしたが、もっと嫌だったのは意地の悪い1つ年上の従姉でした。
この従姉は、私の3歳年下の妹ばかりをかわいがり、私にはあからさまな嫌がらせをしてきました。
見えない場所をつねる・仲間外れにする・私の持ち物を壊す……でも、大人が見ているところでは何もしなかったため、私が母に何度訴えても「気のせいよ」と信じてもらえなかったのです。
流血
ある日、遊んでいるといつものように嫌がらせをしてきた従姉。
しかしこの日ばかりは、嫌がらせではすみませんでした。
従姉がわざと私の方へ振り回した裁縫用の大きな定規が私の頭に当たり、流血する騒ぎになったのです。
すると、従姉は一目散に自分の母親の所へ行き「転んじゃったよ! 血が出ているよ!」と自分の悪さを隠蔽しました。
私は思い切ってみんながいる前で「Eちゃん(従姉)が定規をぶつけてきたんじゃん!」と言ったのですが、なぜか母に「そういうこと言うんじゃないの!」と怒られたのです。
結局……
その後、病院へ行った時も「どこかにぶつけたみたいで」と母は説明していました。
私が何度も「Eちゃんがやったんだよ! いつも私のことだけいじめてくるんだよ!」と言っても、聞き流されてしまったのです。
次に伯母の家に行った時も、母は何事もなかったような顔をしていました。
私の頭にはまだ包帯が巻かれている状態だったのに、従姉に対しても普通に接していたのです。
大きな傷
今の年になって思えば、母はきっと伯母に対する気遣いもあったのかもしれません。
でも、まるで私が嘘をついているような扱いをしたことは、とても大きな傷となって残ってしまいました。
私はその後、中学生の時にひどいイジメを受けたのですが、母に相談することはできませんでした。
また「気のせい」と言われてしまいそうで、怖かったのです。
あの時のショックは、私の中にずっと残っています。
母はすでに他界しましたが、何となく親子なのに一線を引いてしまっている自分がいました。
『親が子どもに与える影響はとても大きい』という経験をしたと思っています。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:RIE.K
国文学科を卒業しOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。シングルマザーとして子供を養うために、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。