突然の「塾やめたい」宣言
ミキさんの中学2年生の息子・ユウタくん(仮名)が突然「塾をやめたい」と言い出しました。
これまで真面目に通っていた息子の急な変化に、ミキさんは困惑。
普段は素直で物分かりの良い息子だけに、余計に心配になりました。
成績も下がり始めていたため
「やる気がないなら、仕方ない。でも自分が困っちゃうんだよ」と叱ることもありました。
理由を言わない息子への苛立ち
何度聞いても息子は口を閉ざしたまま。
塾では「授業態度に問題はない」と言われるのに、家では元気がありません。
思春期のせいかとも考えましたが、息子の変化が日に日に気になって仕方ありません。
このままでは受験にも影響が出てしまう。
一体何があったのか、ユウタくんの心の内が全く見えませんでした。
涙ながらの告白
ある日、息子が泣きながら真相を打ち明けました。
「塾で仲良くなった友達が、俺の弁当を毎日食べちゃうんだ。断れなくて……お腹すいてて勉強に集中できないんだよ」
その友達は家庭の事情で、塾にお弁当を持ってこられない状況だったのです。
優しいユウタくんは、友達を気遣って我慢していたのでした。
ミキさんはその思いに胸が熱くなり、すぐ塾に相談。
塾側も動いてくれ、希望者にパンやおにぎりを用意する取り組みが始まりました。
「なんで早く言ってくれなかったの」
思わず口にした母に、息子は少し照れたように笑いました。
その表情を見て、ミキさんもようやく安心したそうです。
笑顔を取り戻した息子
息子は「友達も僕も勉強に集中できるようになった」と笑顔を取り戻し、成績も元通りに。
子どもの行動の裏には、大人が気づかない事情があることを学んだミキさん。
「もっと早く気づいてあげられていたら」という思いもありましたが、息子の優しい心に改めて誇らしさを感じたそうです。
親として、子どもの小さなサインを見逃さないことの大切さを実感した出来事でした。
【体験者:40代・女性/会社員、回答時期:2024年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ITNコラムニスト:神野まみ
フリーランスのWEBライター・コラムニスト。地域情報誌や女性向けWEBメディアでの執筆経験を活かし、医療・健康、人間関係のコラム、マーケティングなど幅広い分野で活動している。家族やママ友のトラブル経験を原点とし、「誰にも言えない本音を届けたい」という想いで執筆を開始。実体験をもとにしたフィールドワークやヒアリング、SNSや専門家取材、公的機関の情報などを通じて信頼性の高い情報源からリアルな声を集めている。女性向けメディアで連載や寄稿を行い、noteでは実話をもとにしたコラムやストーリーを発信中。