思わず口にしました。
「大学に行けって言ってくれて、ありがとう」
母は少し照れて笑い、こう言いました。
「なによ、改まって」
そして、真剣な表情に変わります。
「ママもね、ダンスが大好きなのよ。ダンスの世界って、やるのも観るのも楽しい素敵な世界でしょう。でもその華やかな世界で仕事をしていくには、好きだけじゃない、それなりの覚悟が必要だと思ったの。だからあえて、厳しい言葉を言ったのよ」
好きなことは好きなままで
あの頃は反発ばかりだったけれど、母の思いを知り、胸が熱くなりました。
ミサキさんが自分の決意に覚悟を決められるよう、時に厳しく見守ってくれていたのです。
その結果、今彼女が自分らしく好きなダンスを思いきり楽しめるのも、あの時の母の言葉があったからこそだと言います。
「“好き”との向き合い方は人それぞれ」
「どんな形でも、好きなことは、好きなままで」
親の反対には、時として深い愛情が込められているもの。
子どもの幸せを一番に考えてくれているからこそなのかもしれませんね。
【体験者:30代・女性/主婦、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:神野まみ
フリーランスのWEBライター・コラムニスト。地域情報誌や女性向けWEBメディアでの執筆経験を活かし、医療・健康、人間関係のコラム、マーケティングなど幅広い分野で活動している。家族やママ友のトラブル経験を原点とし、「誰にも言えない本音を届けたい」という想いで執筆を開始。実体験をもとにしたフィールドワークやヒアリング、SNSや専門家取材、公的機関の情報などを通じて信頼性の高い情報源からリアルな声を集めている。女性向けメディアで連載や寄稿を行い、noteでは実話をもとにしたコラムやストーリーを発信中。