旦那様が海外赴任中でワンオペ育児を続ける筆者の友人A子の話です。仕事が終わってホッとする暇もなく、保育園の最寄駅に着いた瞬間スイッチオン。19時からがその日の本番だといいます。閉園間際に姉妹を迎え、夕食・お風呂・寝かしつけまでノンストップ。仕事よりもハードな“家庭”という名の戦場で、今日も全力で奮闘するママの姿を描きます。

家庭のハードミッション

家に着くと、そこからは完全ノンストップです。手洗い、着替え、夕食の準備。まな板の上で野菜を切りながら、背後で始まる姉妹ケンカを仲裁。同時に調理をこなし、なんとか食卓についたと思えば、ここからが本番です。「食べない」「こぼす」「こぼして泣く」。それでもお風呂、歯磨き、絵本、そして寝かしつけが待っています。

「仕事なら、ミスしても謝れば何とかなる。でも家庭ではそうはいかない。時間は戻せないし、子どもは待ってくれないから」とA子は語ります。

戦う理由がここにある

それでも、毎晩の戦いの中に、小さなご褒美があります。お風呂上がりに2人が「ママ大好き〜!」と抱きついてくる瞬間。寝顔を眺めながら感じる、不思議な充実感。

「大変だけど、この時間が人生で一番濃いかもしれない」

そう言って微笑むA子の横顔は、誇り高い戦士そのもの。

誰にも評価されないけれど、家族を守るために日々奮闘する。そんなA子の話を聞きながら、同じ母として、心の中でそっとエールを送り、静かに握手を交わしたような気がしました。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:K.Matsubara
15年間、保育士として200組以上の親子と向き合ってきた経験を持つ専業主婦ライター。日々の連絡帳やお便りを通して培った、情景が浮かぶ文章を得意としている。
子育てや保育の現場で見てきたリアルな声、そして自身や友人知人の経験をもとに、同じように悩んだり感じたりする人々に寄り添う記事を執筆中。ママ友との関係や日々の暮らしに関するテーマも得意。読者に共感と小さなヒントを届けられるよう、心を込めて言葉を紡いでいる。