誰かがお菓子や美味しそうなものを食べているのを見たら、子どもが「食べたい!」とわがままを言い出すのはあまり珍しいことではありませんよね。言い出したら聞かないし、そんな時どうやってなだめたらいいのか困った経験のある人もいるのではないでしょうか。今回はそんな子どもの突然のわがままを注意する母親の発言に驚いた経験のある筆者の知人、Nさんのお話です。

公園に来たキッチンカー

ある晴れた日、Nさんは家の近くの公園に散歩に行くことにしました。
「今日は気持ちいい日だなー。あ、キッチンカーが来てる!」
その公園はたまに街の小さなイベントが行われることもある場所で、その日は休日の子ども向けイベントがあったのか、からあげやサンドイッチなど軽食を販売するキッチンカーがいくつか出店していました。

「久しぶりにクレープ食べよう」
ちょうど小腹がすいていたNさんはクレープを販売するキッチンカーの前で足を止め、アイスクリームやフルーツの入ったクレープをひとつ購入することに。

「ありがとうございます!」
Nさんは公園のベンチに腰掛け、遊んでいる家族連れを眺めながらクレープを食べ始めました。

するとNさんの前を母親と手をつないで通り過ぎようとしていた小さな男の子が、Nさんを指さして言いました。
「美味しそう! 僕もあれ食べたい!」

クレープを欲しがる子ども

「ダメよ、今からお昼ごはん食べに帰るんだから」
「えー! ごはんなんてヤダ、僕もあの美味しそうなクレープ食べたいよ!」
男の子は手を引こうとする母親に、身をよじらせて抵抗しています。
「なんだか悪かったかな……」
Nさんはそう思いつつも、今にもアイスが溶けてしまいそうなクレープを隠すわけにもいかず、そのまま食べ続けていました。

「あのー!」
そんなNさんに、子どもを連れた女性がすごい勢いで近づいてきました。
「は、はい」
「アナタねえ、子どもが欲しがるようなものをこれ見よがしにここで食べないでもらえます!?」
「え!?」
ここのキッチンカーで売られていたものなのに、と思ったNさんは一応言い返してみることにしました。

「そんなこと言われても困ります。別に見せびらかしていたわけではないし、ここで買ったものだし、そこにあなたたちが後から来たわけで」
すると女性はあからさまに不愉快そうな表情を浮かべてNさんをにらみました。その間もずっと男の子は「クレープ食べたい」と駄々をこねています。
「そんなに食べたいなら、お姉さんに僕にも買ってってお願いしなさい!」
女性は男の子にそう言って、Nさんを指さしました。
「ねえ、それくらいいいでしょ! 子どもが頼んでるんですから!」
女性の無茶苦茶な発言にNさんはビックリ。男の子が今にも「クレープを買って」と言い出しそうな雰囲気だったので、Nさんは早々にそこから退散したそうです。

見ず知らずの子どもにいきなりおねだりをされても困っちゃいますよね。お母さんも子どものわがままに困り果てた末の発言だったのでしょうが、そこは親子のあいだで解決してほしいものです。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。