日常の中で、突然の出会いが自分の行動や考え方を変えることがあります。その日、車を降りた筆者の前に現れた見知らぬ高齢女性。迷子のようなので近所の交番まで送り届けることに……。

突然の「車に乗せて」

家のガレージで車を降りた瞬間、突然知らない高齢女性に話しかけられました。
「悪いけど、乗せてくれない?」

驚きつつ「どうしましたか?」と尋ねると、「家に帰りたいの。A町の家」と言われました。
「誰と来たの?」と聞くと「友達と来た。でも先に帰っちゃった」と、あやふやな返事。
これはただ事ではないかもしれないと感じました。

歩きながら見守る選択

誰かが探している可能性もあるので、車に乗せてしまえば誘拐と誤解されかねません。
とりあえず近くのバス停まで送ろうとしましたが、「バスは乗り方がわからないからイヤ」と拒否されました。
ならば、交番まで一緒に歩こう、ということになりました。
お連れの人にバッタリ会えるかもしれないし、何より安全です。

不思議で和やかなひととき

道中、彼女は道端の花を摘んだり、小石を拾ったり。まるで子どもと散歩しているようで、どこかほっとする時間でした。

「お家でお母さんご飯作って待ってるだろうな~。怒られるかな?」
「大丈夫だよ、きっと心配してらっしゃるんじゃない?」

そんな会話を交わしながら、不思議と温かい気持ちになりました。

認知症との向き合い方

交番に到着すると、おまわりさんが「ああ、この方、前にも保護しましたよ」と。
彼女は認知症を患っており、何度か迷子になっているとのことでした。

こういう場合は、交番に電話してもらえれば、パトカーで迎えに行きます、とのこと。
早速、交番の電話番号を聞いて登録しました。

この件があって以来、自分の親にもこのようなことが起きるかもしれないと思い、迷子札を持たせるようにしました。

【体験者:50代・筆者 回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒヤリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:大下ユウ
歯科衛生士として長年活躍後、一般事務、そして子育てを経て再び歯科衛生士に復帰。その後、自身の経験を活かし、対人関係の仕事とは真逆の在宅ワークであるWebライターに挑戦。現在は、歯科・医療関係、占い、子育て、料理といった幅広いジャンルで、自身の経験や家族・友人へのヒアリングを通して、読者の心に響く記事を執筆中。