都会では「顔すら知らない隣人」が当たり前だった筆者の知人A子。でも、地方での「近すぎる距離感」に少し息苦しさを感じていたそうです。
なんとなく心がざわつく毎日──。
けれどある出来事がきっかけに、その感覚が少しずつ変わり始めたといいます。一体何があったのか、A子から話を聞きました。
なんとなく心がざわつく毎日──。
けれどある出来事がきっかけに、その感覚が少しずつ変わり始めたといいます。一体何があったのか、A子から話を聞きました。
ご近所さんが近すぎて、とまどう日々
夫の転勤で地方の小さな町に引っ越したのは数ヶ月前。
首都圏では、隣に誰が住んでいるのかも知らない生活が普通だったので、スーパーで「今日はお魚?」と話しかけられたり、ゴミ出しが少しズレただけで「昨日どうしたの?」と声をかけられたり……。
その「距離の近さ」に、私は戸惑いを隠せませんでした。
どれだけ気をつかっても、なんだかしっくりこない毎日
「できるだけ目立たずに、波風立てずに」と心がけていても、地域の集まりや清掃活動には「新人」として参加しなければなりませんでした。
断れば「付き合いの悪い人」と思われてしまいそうで、ますます神経をつかうように。
なかなか馴染めない自分に、次第に自己嫌悪が募っていきました。
「もう、都会に戻れないかな」そんなふうに本気で夫に相談したこともあったのです。
苦手なあの人に救われた瞬間
ある日、自宅近くを愛犬と散歩していたときのこと。
突然、愛犬が力が抜けるようにうずくまり、まったく動けなくなってしまいました。血の気が引くような不安に襲われました。
何もできず立ち尽くすしかなかった私。
すると普段ちょっと苦手に思っていた近所の中年の女性が
「乗りなさい」
と声をかけてくれたのです。