全部飲んできなさい!
息子の通う学校では、毎日水筒を持参することになっています。今年の夏はとても暑かったので、大き目の水筒を持たせていました。
息子は重いと愚痴をこぼしていましたが、私は「我慢しなさい」と言ってきかせました。
しかし、学校から帰ってくると、水筒は半分も飲まれていない日がほとんど。
それどころか全く口をつけていない日もあったので、「しっかり飲まないと熱中症になるよ! 全部飲んできなさい!」と息子に毎日注意したのです。
理解不能な行動
しばらくすると息子は「全部飲んできたよ」と、水筒を空にしてくるようになりました。そのたびに私は「よく飲んできたね」と息子を褒めました。
しかし、授業参観の日に衝撃の事実を知ることになります。
息子の友達が、私の方に近寄ってきて「〇〇君、下校中に水筒の水を道路に撒き散らしてるよ」と告げ口してきたのです。
嘘をついた理由
帰宅後、「道路に水を撒き散らしていたって本当?」と息子に尋ねました。しかし、息子は何も言おうとはしません。
カッとなった私は「周りの人に迷惑でしょ! そんなことしたら絶対にダメ!」と叱りました。そして「全部飲んできたよって言ってたじゃない! どうして嘘をついたの!」と咄嗟に息子を責めてしまったのです。
すると息子は「ごめんなさい。水を残すとママに怒られるから……」と震えながら呟きました。
息子を苦しめていた
私は息子に熱中症に気を付けてほしかっただけでした。
でも、息子にとっては勝手に大きな水筒を持たされて、残せば叱られる……。冷静に考えれば、そんなの嫌に決まっていますよね。
震える息子の姿を見てはっとした私は、「ごめんね、ママが悪かったよ」と心から謝りました。
それ以降、水筒は小さいものに戻し、残してきたとしても追及するのをやめました。嘘をつかなければならないほど、息子を心理的に追い込んでしまったことに、母親として深く反省しています。
子供が嘘をつく理由として【親に叱られたくないから】というのはよく聞く話です。
知人の場合、一方的に大きな水筒を持たせるのではなく、もっと子供の気持ちに寄り添った熱中症対策を取るべきだったのかもしれません。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:花澤ひかる
主婦ライター。ママ友たちからの悩みを聞くうちに、この声を世に届けたいと、ブログなどで活動を開始し、現在はltnライターに転身。主婦目線を大事に、ママ世代へのフィールドワークと取材を行い、そのリアルな思いをコラムにすることをライフワークにする。