『なぜ自分だけ誘われないのか』と悩むなかで、息子の“ある言葉”が自分を見つめ直すきっかけになります。
今回は筆者の知人から聞いた、親子関係についてのエピソードをご紹介します。
息子に会えない寂しさ
「え、また嫁の実家と旅行なの?」
息子に三連休の予定の話を聞いたとき、私は思わず口を尖らせてしまいました。
昔は息子がよく日帰り旅行に誘ってくれて、夫と3人楽しい時間を過ごせていたものです。
でも、息子が結婚してから数年、息子との時間を持つことが難しくなり、正直とても寂しかったです。息子に寂しさを感じていた自分を、どこか嫁やその家族に“取られた”ように感じてしまうこともありました。
息子の提案
そんなある日、ついに我慢できず、
「なんで私とは旅行に行ってくれないの?」
と息子に尋ねると、息子は少し困った顔をして言いました。
「嫁のご両親とはまだ関係が浅いから、俺が間に入って旅行に行くことで、夫婦の関係がうまくいくようにしたいんだ。今は許してほしい。いつかまた、ゆっくり行こう」
「そうだ、趣味とか作って俺以外の人とも関わってみたら?」
最初は息子に突き放されたように感じてしまい、とても悲しかった私。
でも、冷静になって思い返すと、私は息子夫婦の生活に自分の居場所を求めすぎていたのかもしれないと気づいたのです。
3年前に夫が亡くなってからというものの、息子と過ごす時間“だけ”が楽しみになっていました。
交流の結果
その日から思いきって、以前から気になっていたダンスサークルに通い始めた私。
最初は新たなチャレンジをすることにとても緊張しましたが、今では友人もでき、週末が楽しみになりました。
ほかにも自宅園芸をSNSでアップするように。
ネット上で友人ができただけでなく、ご近所さんとの会話のネタになってより親密になれたのです。
自分で豊かに
息子のおかげで“親の寂しさや孤独感を、子どもに依存して埋めようとしてはいけない”と気づけた私。
そのおかげで、前よりも息子に執着しなくなり、嫁との関係も良好になってきたように感じています。
『自分の人生は、自分で豊かにするしかないのだ』と学んだ出来事でした。
【体験者:60代・女性主婦、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にltnでヒアリングと執筆を行う。