目をつけられていた私
入社して2年目。
私は仕事にも慣れてきて、自信も少しずつついていました。
けれど、直属の先輩であるC子さんだけは、私にだけやたらと厳しかったのです。
他の人には笑顔なのに、私には「メモ取ってる?」「また同じミスね」と嫌味ばかり。
最初は私の努力が足りないのかと思っていました。
“ミスの責任”を押しつけられた日
ある日、C子さんの資料ミスでお客様対応に混乱が起きました。
にもかかわらず、C子さんは「B子がチェックしなかったから」と上司に報告したのです。
私は何も言えず、「すみません」と謝りました。
その場は収まりましたが、内心は悔しさでいっぱいでした。
静かに見ていた人がいた
後日、人事面談で上司に呼ばれました。
私は覚悟して席につきました。ところが、上司はゆっくりとこう言いました。
「B子さん、C子さんの件は全部見えてるよ。あなたはきちんと報連相していたし、むしろよく我慢してくれた」
驚いて顔を上げると、上司はこう続けました。
「実は、社内アンケートで“最も信頼されている若手”にあなたの名前があったんだ」
本当の評価は、誰かが見てくれている
その数週間後、C子さんは別部署に異動となりました。
私は何も言わなかったけれど、きっと色んな声が届いていたのだと思います。
あの頃は、C子さんの行動の背景を考える余裕すらありませんでしたが、今になって振り返ると、もしかしたらC子さんにもC子さんなりの事情があったのかもしれないと、少しだけ思うようになりました。
職場には理不尽な人もいるけれど、誰かがきちんと見てくれている。
あの時、何も言い返せなかった私の努力が報われた瞬間は、確かに訪れたのです。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。