結婚当初は、夫がゴミ出ししてくれるだけで「ありがとう」と思っていました。
でも今では“あのスルースキル”に、反省も感謝も全部ふっとんでしまう朝があるのです。
昔は、優しさを感じていた
結婚したばかりの頃、夫がゴミ出ししてくれるだけで「助かる! ありがとう」と思っていました。
夫は「ゴミ集めるの、大変でしょ?」と気を遣ってくれて「集めるのも俺がやるよ」とまで言ってくれていたのです。
私は、慌ただしい朝に動いてくれるのが本当にありがたくて「ありがとう」の一言が、自然と口に出るようになっていました。
たとえ忘れていたとしても「忙しいのかな」と気を遣って、自分で持って行ったり、やんわり声をかけていたのです。
でも今は、イラッとするばかり
それがいつの間にか変わってしまいました。
「ごめんね、お願いしていい?」と下手に出ていた私はいなくなり、今では、放置されたままのゴミ袋を見つけると、「ゴミ、出してって言ったよね?」と、語気もきつく夫を責めてしまう。
ゴミ集めはおろか、ゴミ出しさえ忘れてしまう夫に、私はいつからか、頃合いを見てゴミを集め、玄関にそっと置くようになっていました。
「ここにあれば、さすがに気づくだろう」――そんな願いを込めて。
けれど、ゴミ袋がそのまま残っているたびに「また?」とイラッとすることが増えていったのです。
新婚当初とは明らかに違う自分に「ちゃんと感謝しなくては」とふと気づくときもあります。
でも、繰り返される“うっかり忘れ”に、ついイラつく気持ちのほうが勝ってしまうのです。
見事なスルースキルに、反省がふっとぶ
今朝も、なかなか起きてこない夫にモヤモヤしながら、いつものようにゴミ袋を玄関に置きました。
せめて、目に入る位置にあれば、出勤前には気づいて持って行ってくれるはず――。
そう思っていた矢先、寝起きの夫が、新聞を取りに玄関へ。
……が、ゴミ袋の横を、まるでそこに存在しないかのようにスッと素通りしたのです。
その“スルースキル”に、思わず絶句しました。
結婚生活って、地味な繰り返しの連続
思い出したのは、結婚したばかりの頃。
ちょっと手伝ってくれるだけで「ありがとう」と感じていたあの頃の自分。
そう、反省しかけたのも束の間。
何も気づかず、何も言わずに戻ってきた夫の姿を見て、その反省は見事に吹き飛びました。
「感謝」より「習慣化してほしい」が本音かもしれないと気づきました。
感謝を忘れ、不満ばかり浮かぶ自分。ゴミ出しを忘れ、見事なスルースキルを発揮する夫。今日もまた、そんな不器用な二人の結婚生活が続いていく。完璧な夫婦なんていない。お互いの“欠点”も、いつか笑って話せる日が来るのだろうか。もう黙っているのは良くないのかもしれない。今日は素直に自分の気持ちを伝えてみようかな、そんなことを考える朝でした。
【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。