いつも通りの手洗いチェック
「手洗った?」「うがいも!」
私はいつも小学生の子どもたちに、外から帰るたびに叫んでいます。
洗面所に駆け込む背中を見ながら、「ちゃんと洗った? 手首まで? 指の間もだよ」と追いかけるように声をかけるのが日常。
お友だち来訪! 急に張り切りモードの息子
ある日のこと。
息子の友だちKくんが、珍しくわが家に上がることになりました。
普段はお姉ちゃんが家にいる時間なので、弟の友だちを招くのは遠慮してもらっていますが、この日はたまたまOKを出しました。
Kくんは玄関でお行儀よく靴をそろえ、静かに戸を閉めます。
すると、息子がいきなり「靴下脱ぐと楽だよ」と言いました。
「お友だちの家では靴下脱いじゃだめって言われてるの」とKくん。
しっかりしてる……。
まさかのルームツアーと完コピ指導
Kくんが家に来たといううれしさが隠せないのか、息子はテンション全開でルームツアーを開始。
「ここはトイレでー」「こっちはお風呂ー」と、まるで新築マンションを紹介する営業マンのような熱量で案内しています。
極めつけは洗面所。
「ここで手を洗います!」
「よーく手を洗って! モコモコの泡で! 手首までね、しっかりね!」
まるで私の口調そのまんま。
Kくんの背後にぴったり張り付き、「指の間も忘れずに!」「ちゃんと流して!」「うがいもしてね!」と念入りな手洗い指導が始まりました。
まるで私の分身!? 息子のそっくり対応
……え、なにこの既視感。完全に私でしょ。
目の前にいるのは、いつも私が叱ってる“あの息子”なのに、今日は“私”が2人。
いつもの自分を見ているみたいで恥ずかしくなり、私は思わずキッチンへ引っ込みました。
子どもって、ちゃんと見てるし、ちゃんとマネをする。
でも、よりによってKくん相手に完コピしなくても。なんだかKくんに申し訳なくなった私。
手洗いうがいは大事なことです。でも、「家に来てくれたお友だち相手に指導しなくていいよ!」と突っ込みたかった出来事でした。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。