ずっと行きたかったカフェ
Mさんは当時新卒で入社したばかりの社会人1年目。
学生時代からカフェ巡りを趣味としていたMさんは、社会人になってからも休日に学生時代の友人と一緒にカフェを巡るのを楽しみにしていました。
そんなMさんにはずっと気になっているカフェがありました。それは月に数日しか開いていない古民家カフェで、いつか友人と予定を合わせて行こうと予定していたお店です。
しかしなかなか2人の予定が店の営業日に合わず、数ヶ月が経ちました。
「来月こそは一緒に行こうね。この日なら行けるはず!」
「うん、絶対行こう!」
Mさんは友人と約束した日を楽しみに、仕事を頑張っていました。
そんなある日、Mさんが何の気なしに友人のインスタを見ると、その古民家カフェに別の友人と行ったという投稿があったのです。
友人が告げた理由とは……
「インスタ見たよ、あのお店、先に行っちゃったんだ」
Mさんはガッカリしてしまい、ついLINEで友人にそう送ってしまいました。すると友人からの返信はとても意外なものだったのです。
「フォロワーがたくさんいる子と行ったからタダだったんだよね。カフェ代浮いたし映え写真撮れてラッキーだった! でも味はイマイチ」
ちっとも悪びれないその返信に、Mさんは「私と行くはずだったよね」と言う気力もなくしてしまいました。
友人が一緒に行ったのは確かにSNSのフォロワーも多く、地元ではかなり影響力のあるインフルエンサーの女性。
彼女と一緒に行けば、宣伝になるのでお金を払わなくても飲食できるという話はMさんも聞いたことがありました。
友人はそれからもフォロワーの多い友人とカフェや美味しいレストランを巡ることが多くなり、自分も彼女と同じように次々と写真をインスタにアップし始めました。
「たまには私とも行こうよ」
とMさんが誘っても、「Mと行っても映えないしお金がかかるから」という理由で断られることが多くなってしまい、そのまま友人とは疎遠になったそうです。
無料で飲食でき、SNSで注目を集めることは魅力的に映るかもしれません。しかし、Mさんにとってこの出来事は、今後の人間関係を考えるきっかけとなったようです。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。