親子、特に母親と娘の関係は、近すぎるがゆえに複雑なものです。良かれと思って口にした言葉が、いつの間にかすれ違いを生んでしまうことも少なくありません。今回は、筆者の友人が母親とのエピソードを聞かせてくれました。
そして、涙を浮かべてこうも言いました。
「だから、あなたが恋をするのが怖いの。昔の自分と重なって……。口うるさく言って、本当にごめんね」
嫉妬なんかじゃなかった。
「娘には自分と同じ思いをさせたくない」という、切ない親心だったのです。
ようやく素直になれた私たち
母の告白を聞いて、私は自分の未熟さを恥じました。
母はただ口うるさいだけじゃなかった。深い傷を抱えて生きてきた、ひとりの女性だったのです。
その日から、私たち親子を隔てていた壁は、少しずつ溶けていきました。
私が意地を張るのをやめると、母も驚くほど穏やかになり、今では私の恋の相談に「その人、どうなの?」なんて笑いながら乗ってくれるように。
母の言葉の裏にあった不器用な愛情を知り、私たち母娘は、初めて心から向き合えた気がします。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。