運賃が払えない小学生
私がバスに乗っていたときの話です。小学1年生くらいの男の子がバス停で降りようとしたのですが、ICカードの残高が足りず困っていました。どうやら持ち金はなかったようです。
運転手さんもどうしたら良いか分からず、バスを発車させることができません。
そのとき私は最後尾に座っていました。遠くにいたこともあり、自分がどのような対応をするべきなのか分かりませんでした。
知らない人からのお金
その時、前方に座っていたスーツ姿の男性が「このお金で払いなさい」と男の子に現金を差し出しました。
しかし、男の子はオドオドして受け取ろうとしません。
現代では、知らない人から物をもらってはいけないと教育されているでしょうから、男の子が困惑するのも当然です。ましてやお金ですから、より慎重になったのでしょう。
救いの言葉
受け取りを拒否する男の子に、男性は次のように声をかけました。
「次からは必ず親御さんと残高を確認しなさい。このままだとバスが動かなくて、大勢の人に迷惑がかかる。だから今日だけはおじさんに甘えなさい」
諭された男の子は、顔を真っ赤にしながら「本当にありがとうございます。今日のことは大人になっても忘れません!」とお礼を良い、急ぎ足でバスを降りていきました。
この瞬間、バスの中は安堵感に包まれたような気がしました。
大人の務めとは
このようなシーンに直面したとき、人によって正解だと思う対応は異なるでしょう。ただ、困っている子供がいたら、本来は救いの手を差し伸べてあげるのが大人の務めだと感じます。
またICカードの残高不足は、誰にでも起こりうることです。この出来事をきっかけに、子供のICカードの残高を確認することに加え、予備の現金を持たせることの必要性を強く感じました。
【体験者:30代・女性パート、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:花澤ひかる
主婦ライター。ママ友たちからの悩みを聞くうちに、この声を世に届けたいと、ブログなどで活動を開始し、現在はltnライターに転身。主婦目線を大事に、ママ世代へのフィールドワークと取材を行い、そのリアルな思いをコラムにすることをライフワークにする。