バス停で外国人観光客に道を聞かれた時のこと。
たまたま同じバスに乗ることになり、案内したのですが……行き先が意外すぎて、今も気になっています。
突然の声かけにびっくり
ある日、友人とランチを楽しんだ帰り道。
バス停でバスを待っていると、外国人観光客の男性がスマートフォンを手に近づいてきました。「このバス停で合ってる?」と画面を指さしながら、片言の英語で尋ねてきたのです。
そのバス停には複数の路線が通っており、彼は正しい乗り場かどうかを確認したかったようです。
突然のことで少し驚きましたが、画面に表示された系統番号は、ちょうど私が乗る予定のバスでした。
同じバスに乗ることに
「一緒に乗りましょう」と伝えると、彼はほっとしたように笑顔を見せます。
リュックを背負い、地図アプリを何度も確認する様子から、どうやら観光で来ているようでした。
バスの車内で、彼は再びスマートフォンの画面を見せてきます。
目的地までの乗り換えルートが表示されており、バスを乗り継ぐ経路が書かれていました。
画面には、バスで1時間以上かかる道のりが示されています。
地元の人はよほどのことがない限りバスで移動しない距離です。
「電車で行った方が早いのに」と心の中で思いながらも、英語でうまく伝える自信がなく、私は黙ってしまいました。
できる限りの案内をしてみた
それならせめてわかりやすいようにと、乗り換えしやすいバス停を考えながら車内で過ごします。
やがて目的の乗り換え場所が近づき「ここで降りるといいよ」と指差しで伝えると、彼は満面の笑みで「サンキュー!」とお礼を言い、バスを降りました。
横断歩道を渡り、向かいのバス停に向かう後ろ姿がとても楽しそうに見えます。
あの場所には何があったのか
ただ、行き先は観光地でも有名な場所でもなく「わざわざバスで行く?」と思うような住宅街の一角でした。
帰宅後、気になって検索してみましたが、やはり住宅ばかりでめぼしい情報は見つかりません。
もっと英語が話せたら「何をしに行くの?」と尋ねられたのに、と少し悔しさが残ります。
今でもあの日の彼の笑顔を思い出すたび、あの場所に何があったのか気になって仕方がありません。
【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。