母を連れて病院に行った日のこと。自動精算機で支払いをしようとしたのに、投入額が0円のまま。
焦りと恥ずかしさで滝汗をかいた、忘れられない体験でした。
「え、なんで!?」支払額が0円のまま
母は施設に入所していますが、通院のときは私が付き添っています。
車いすを押しながらの移動は思った以上に大変で、この日も診察が終わる頃にはすっかり疲れ切っていました。
ようやく会計の順番がきて、自動精算機に760円を投入。
チャリンという音は聞こえるのに、投入額は0円のまま。
「え、なんで!?」と、一気に焦りが込み上げました。
母と過ごした待ち時間と疲れ
その日は病院も混雑していて、診察まで2時間待ち。
待ち時間の途中、母が「帰りに何か甘いものを食べたい」と言うので、売店まで一緒に行き、帰りの車で食べるお菓子を購入していました。
荷物と車いすを抱えての移動は思いのほか疲れるもので、会計の番号が表示されたときには、頭も体もぼんやりしていました。
「やっと終わる」とほっとした矢先、すぐに会計機へ向かったのです。
後ろを見ると、待ちくたびれた様子の患者さんが何人も並んでいます。
「私が手間取ったら迷惑をかける」と思うと、余計に焦りが強くなりました。
小銭をお札の投入口に
ぼんやりしたまま、目の前に開いていた投入口に小銭を落とし続けていました。
しかし、小銭を入れ続けても、投入額は0円のまま。
500円玉も入れたはずなのに数字は動かず、心臓がバクバクと高鳴ります。
後ろの視線が痛く、手のひらはじっとり汗で濡れていました。
「どうしよう、機械を壊したのかも」と不安が押し寄せましたが、自力では何ともできず、係員さんを呼ぶしかありませんでした。
「ここにお金を入れたんですけど、投入額が0円なんです」
そう説明すると、係員さんは驚いた顔で「そこはお札の投入口です」と一言。
自分がずっと小銭をお札の投入口に入れていたと気づいた瞬間、顔から火が出そうなくらい恥ずかしくなりました。
焦ると普段しないミスをする
係員さんが素早く機械を開け、小銭を回収してくれました。
幸い、機械は壊れていなかったのです。
安堵の息と同時に、恥ずかしさと情けなさが波のように押し寄せてきたのでした。
「焦ると、普段ならしないミスをしてしまうんだな」
そんなことを身をもって痛感した出来事でした。
【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。