筆者の話です。
母が同じ話を何度もするようになり、戸惑うことが増えました。
聞きながら、私も人に同じことをしていないかとハッとしたのです。

母が同じ話を繰り返すように

最近、母が同じ話を何度も繰り返すようになりました。
年を重ねていくと、少しずつ記憶が曖昧になるのは仕方のないことなのかもしれません。
「それ、この間も聞いたよ」と口に出しそうになるのですが、先に結末を言ってしまうと母は機嫌が悪くなるのです。

だから私は、毎回初めて聞くふりをして最後まで耳を傾けるようにしています。
最初は「聞いてあげよう」という気持ちでしたが、だんだん慣れてしまい、今では母が話し始めた時点でオチがわかるようになってきました。

母の話はほほえましい日常

近所の友人がきゅうりをたくさんくれたので、からし漬けにした話。
同居している弟がおかずを買ってきたけれど、口に合わなかった話。
さらに、スーパーで特売だった卵を4パックも買ったら冷蔵庫に入らなくなった話もありました。
どれも小さな日常の出来事ですが、私は5回目にもなり、空で言えるくらいになっていました。

母の表情や身ぶりまで同じで、思わず笑ってしまいそうになることもあります。
聞きながら、母と過ごす時間の中に、懐かしさと愛おしさを感じることもあるのです。

ふと我に返った瞬間

そんなある日、母の話を聞きながら、ふと我に返りました。
「私も同じ話を繰り返していないかな?」
仕事柄、私は母より多くの人と話す機会があります。
面白いと思った出来事は、つい別の人にも話してしまうのですが、もしかすると同じ相手に何度も同じ話をしているかもしれない。
聞き手を退屈させるのは、本意ではないのに。
笑って聞いてくれたけれど、本当は「前にも聞いたな」と思われていたのではないか。
そう思うと急に恥ずかしくなったのです。

母娘だからこそ思えたこと

母娘だから、同じ話を何度でも我慢して聞くことができる。
けれど、他人様に同じことをしてしまったら「また同じ話かも」と思われてしまうはずです。

母とのやり取りを通して、私も話し方を少し気をつけようと決めた出来事でした。
母がいてくれるから、こうした気づきをもらえるのかもしれません。

【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。