大きなプロジェクトを一人で切り盛りし、無事に成功へ導いたD美さん。
ところが成果発表の場で、上司が手柄を横取りしようとして――?
「なんで私が……」
ここ1ヶ月ほど、私はあるプロジェクトの中心となって働いていました。
毎日のように残業を重ね、関係各所との調整やトラブル対応も一人でこなします。
実はこのプロジェクト、本来であれば上司のE子さんがリードすべき案件だったのですが、やる気がないのか、「子どもが熱を出してしまった」「急な来客があるので、あとはお願い」など、理由をつけては、ほとんどの仕事を私に任せてきたのです。
もちろん子どもが熱を出したなどは、仕方がない理由ではありますが「なんで私が……」と、つい思ってしまうこともありました。
それでも、任されたからには全力でやろうと覚悟を決め、努力を重ねた日々でした。
だからこそ、無事にプロジェクトが成功した時は本当に嬉しく、ほっとしました。
手柄を横取りする女上司に、唖然
ところが、社内会議で成果を発表する段階になって、納得しがたいことが起きました。
率先して立ち上がり、報告資料を読み始めたのは、E子さん。
「このプロジェクトは――」と、まるで最初から最後まで自分が采配をふるっていたかのような口ぶりで話します。
私が作った資料を読み上げるE子さんの口から、私の名前は、一度も出てきませんでした。
唖然とするしかありません。
「その資料だって、私が一人で、徹夜で作ったのに……」
これまでの日々を思い出し、悔しさでいっぱいになりました。
見てくれている人はいた
すると、会議中に役員の方がE子さんに質問をしました。
「このフローの判断って、どういう基準だったの?」
E子さんは答えに詰まり、しどろもどろ。
それもそのはず、質問の内容は、現場で対応していた私にしか答えられないものだったからです。
その時、別の女性上司が一言。
「この件、実際に回していたのはD美さんだよね? 詳しく教えてくれる?」
はっと顔を上げた私に、上司は微笑みながら、小さく頷きました。
見てくれている人は、ちゃんといたんだ――。
そのことに心救われ、報われた思いがしました。
まとめ
「D美さん、さすがだね。次回もリードを頼むわ」
会議後、先ほどの上司に声をかけられた私は、嬉しくて胸が熱くなりました。
隣を見ると、E子さんはバツの悪そうな顔でうつむいています。
努力をしても、すぐに報われないことや、悔しい思いをすることだってたくさんあります。
でも、腐らずに前進し続けていれば、誰かが気づいてくれたり、チャンスを掴むことだってあるんです。
それは、自分の大きな自信に繋がります。
逆に、サボるだけサボっても人からの評価は気にし、要領よく立ち回ろうとするE子さんのような人は、ボロが出た時に、人からの信頼を大きく失ってしまうことでしょう。
今回の経験で、私はたくさんのことを学んだように思います。
【体験者:30代女性・会社員、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。