無意識の偏見に満ちた言葉に、場の空気が凍りつきました──。
「保育園ってかわいそうよね」
今回は筆者の友人から聞いた、子育て観の違いに関するエピソードをご紹介します。

保育園の子はかわいそう?

あるとき、支援センターでたまたま聞いてしまった驚きの言葉に、私は耳を疑いました。

だんだん顔見知りになってきた親子が数人集まっているなかで、堂々と言い放ったのはとあるママ友。

「私はちゃんと育てたいから幼稚園にしたの」
「保育園ってかわいそうだよね」
「親が仕事に復帰するために子どもは我慢させられるなんて」

その場にいたママたちの空気が一瞬、ピリッとしました。

『保育園に通わせているママも多いのにどうしてこんな無神経なことが言えるの?』と、私も思わず眉間にシワが寄ってしまいました。

無意識の偏見

その言葉を発したママ友は専業主婦で、彼女なりの価値観に基づいた発言だったのかもしれません。悪気はなかったように見えました。

とはいえ、“親が働くために保育園に入れる=子どもがかわいそう”と決めつけるような偏見は、理解に苦しみます。

保育園に我が子を通わせている者の一人として、私の心の中で抑えられない小さな怒りが込み上げました。

でも、『怒りをそのままぶつけても意味がないし伝わらないだろう』と冷静に思う自分もいたのです。

そこで笑顔のまま、静かにこう返してみました。

「うちの子は保育園に通っていますけど、さみしい思いをさせないよう心がけています」
「どのご家庭もいろいろな事情があるなかでみんな“ちゃんと育てよう”と頑張っていると思いますよ」

和解のきっかけ

すると、ハッとしたような表情を浮かべた彼女。

「そうよね......」
「そんなつもりじゃなかったの」
「ごめんなさい」
と小さな声で答えてくれたのです。

私の発言には、ほかのママたちも頷いてくれていて、場の空気が少し変わったのを感じました。

伝える勇気

違和感があったときは、優しくでも“はっきり”伝える勇気が必要だと思います。

子どもの育て方は家庭によってそれぞれ。

だからこそ『子育ての正解は1つじゃないことを互いに理解し合い、尊重することが大切だ』と改めて感じた出来事でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にltnでヒアリングと執筆を行う。