腹を割って話した先に見えてきた、見過ごされがちな“優しさ”の裏にある本音とは?
今回は筆者の知人から聞いた、夫婦の意思決定にまつわるエピソードをご紹介します。
妻任せの夫
結婚して十数年経ちますが、夫に対してとある不満を抱えるようになりました。
夫は穏やかで争いごとを好まないタイプなのですが、その一方で“君が決めて”というセリフが口癖になっているのです。
子どもの進学、旅行の行き先、義父母の介護の話まで、選択すべきようなことがあったときには必ずすべて私に丸投げしてくる夫。
「どっちでもいいよ」
「任せるよ」
の連続に、私は次第に疲れていきました。
正直に伝えるも?
私だって迷うし、判断に自信が持てないときもあります。
けれど、その不安に寄り添うどころか、どんな場面でも一歩引いて責任を持とうとしない夫に段々『頼りがいがない』と感じるようになっていました。
夫の態度についに心が折れたある晩、
「どうして私にばかり決めさせるの?」
と問い詰めてみた私。
すると夫は面倒そうな顔で、
「その方がうまくいくと思って」
「俺が決めて何かあったら怖いし」
と答えたのです。
その答えに、私は深く傷つきました。
『うまくいかなかったときは、私のせいにするつもりだったのだろうか』と、夫の態度から感じてしまったのです……。
カウンセリング
翌週、夫の言葉が受け入れがたいと感じた私は1人でカウンセリングに行くことに。
これまでの話をしているうちに涙が出てきた私に、カウンセラーは寄り添いつつもこうアドバイスしてくれました。
「旦那さんは決断に強い不安を感じるタイプかもしれませんね」
「旦那さんも本当は考えていることがあってもうまく口に出せないことを悩んでいるかもしれません」
その言葉を聞いて少し納得できた私はそれ以来、言い方を変えるように。
「私はこう考えているけれど、あなたはどう思う?」
と問いかけるようにすると、夫も少しずつ自分の意見を口にするようになってくれました。
対等でいるために
完璧な話し合いではないけれど“一緒に決める”という姿勢がようやく見えてきた私たち。
ただ責任を押しつけるだけではなく、2人で考えた上で決断を相手に任せることが、夫婦が対等なパートナーでいるために必要だと学びました。
小さな違和感を見逃さず、声に出すことの大切さを改めて実感しています。
【体験者:50代・女性パート主婦、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にltnでヒアリングと執筆を行う。