勝手に捨てられたことで大ゲンカに発展した夫婦が、価値観の違いに気づくことに──。
今回は筆者の知人から聞いた、夫婦のすれ違いに関するエピソードをご紹介します。
片付け
あるときの週末、夫が物置部屋と化していたスペースを片付けてくれました。
『スッキリして気持ちいいなあ』と感謝したのも束の間、大事にしまっておいたはずの段ボール箱が見当たらないのです。
「あの段ボール箱はどこにしまったの?」
と夫に尋ねると、思ってもいなかった答えが!
「ああ、全部捨てたよ」
「いろんなものがごちゃ混ぜに入っていたからゴミだと思って」
思い出の品
それを聞いて真っ青になった私。
そのなかには、娘が小学校で描いた絵や、私の祖母がくれた手紙、数年前の年賀状など、大切な“思い出の品”が入っていたからです。
「どうして勝手に捨てたの!?」
「私に一度確認してくれてもよかったのに」
そう思わずケンカ口調で詰め寄りましたが、夫は『せっかく片付けてやったのに』と不服な表情。
「だって使わない物でしょ?」
「ずっと放置していたし」
と言われてしまいました。確かに、その段ボール箱は開かずの箱になっていて、中には大切な思い出の品と、ただの古雑誌などがごちゃ混ぜに入っていました。夫からすれば、手紙や年賀状も、古い書類の一部として無造作に積まれた「ゴミ」に見えたのかもしれません。
時すでに遅し
その夫の態度が、私にとっては火に油を注ぐような怒りを助長させてしまうことに。
久々に本気で怒鳴ってしまいました。
夫も私の怒りに驚いた様子でしたが、中身がどれだけ大切なものであったかを熱弁すると、ようやく分かってくれました。
同時に私も『大切なものを適当な場所にしまっておくのはよくなかった』と反省しました。
その後なんとか取り戻そうとしましたが、時すでに遅し。
結局、ほかのゴミと一緒に袋ごと回収センターに行ってしまっており、もはや取り戻すこともできず。
失ったものの重さを痛感する日となりました。
確認することの大切さ
この出来事以降、我が家には“捨てる前に要確認”というルールが誕生しました。
“不要かどうか”は人それぞれ。
だからこそ夫婦の感覚の違いを、もっと言葉にしようと思えた出来事でした。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にltnでヒアリングと執筆を行う。