筆者の話です。
旅行中、憧れの“クラブフロア”と呼ばれる専用ラウンジのある高級ホテルに宿泊することになりました。特別な時間を期待していたのですが──ラウンジで目の当たりにした“あの光景”が、今も胸に残っています。

憧れのクラブフロア、期待を込めてチェックイン

クラブフロアと呼ばれる専用ラウンジのあるホテルに泊まるのが夢だった私たち。
旅行先では観光よりホテルステイを楽しむタイプで、今回は特に、クラブフロアでのカクテルタイムを心待ちにしていました。

あちこちの予約サイトをチェックし、割引やクーポンを駆使して、ようやく予約を取った高級ホテル。
チェックイン時の対応も素晴らしく「来てよかったね」と笑い合いながら、期待を高めてラウンジに向かいました。

ジャズが流れる非日常空間、ところが……?

ジャズが流れる落ち着いた空間。
アルコールや軽食が無料で提供されるその空間は、まさに“非日常”でした。

「素敵なホテルだね」
「サービスもさすがだね」
会話が弾み、気分も上がっていきます。

そんな中、グラスが空になった私たちは、おかわりをお願いしようと目でスタッフを追いました。
けれど、何度目が合っても──視線を外され、私たちの席には誰も来ませんでした。

「おかわりお願いします」……その瞬間、感じた差

ふと隣の席を見ると、常連らしき年配の夫婦のもとには、スタッフが何度も足を運んでいました。
笑顔でシャンパンを注ぎ、にこやかに会話を交わす様子。

──その差は、はっきりと見えました。

私たちは「おかわり、お願いできますか」と一度声をかけました。
けれど返事はなく、軽く会釈されて終わり。
気づかないふりをされたような、なんとも言えない虚しさが残りました。

「私たち、そんなに場違いだったのかな」
口に出せば涙が出そうで、黙って部屋に戻りました。

もう行かない。あの夜の“見えない壁”が残したもの

翌朝、チェックアウト時の対応は丁寧で、メールのフォローもきちんとしていました。
けれど、あの夜の“見えない差”は、心に小さな傷のように残っています。
同じ空間にいたのに、あんなにも違う扱いを受けたこと。
今もふとしたときに胸を刺す違和感。

それ以来、そのホテルには一度も泊まっていません。
サイトを開くたび、あの夜の光景がよみがえり、指先が止まってしまいます。

【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。