オンライン会議に参加する直前、私は思わぬ失敗をしてしまいました。
誰にも気づかれていないようでいて、誰にも聞けなかった沈黙──その空気が今も忘れられません。
朝から鼻歌、ご機嫌で準備していたら
「ぷぷぷぷぷーん♪」
なぜそのフレーズだったのか、自分でもわかりません。
私は朝から上機嫌で、鼻歌を口ずさみながらオンライン会議の準備をしていました。
この日はいつも通り、開始5分前にログイン。
画面を整え、資料を表示しながら鼻歌を口ずさんでいたのです。
気分が良かったのか、つい声も弾んでしまっていました。
ふと見た画面に走った、冷たい違和感
資料の並びもバッチリ。
「今日も大丈夫そう」 そう思ってふと画面を確認すると、マイクとカメラのアイコンに斜線が入っていないことに気づきました。
「え? まさか!?」
私はそのまま “音と映像つき” で、朝から鼻歌を配信していたのです。
よりによって『ぷぷぷぷぷーん♪』 だなんて……。
しかも、そのときすでに20人以上が入室していたと気づき、血の気が引きました。
沈黙が、何よりつらかった
マイクとカメラがオンのままになっていたことに気づいた私は、慌ててマイクだけをオフに。
けれど、すでに鼻歌は流れていたはずです。
その後、カメラはオンのまま、私は画面に向かって何度も頭を下げました。
声はもう届かないけれど 「すみません」 の気持ちはきっと顔に出ていたと思います。
しかし、誰からも反応はありませんでした。
もともと顔出し参加の少ないミーティング。
無表情なアイコンだけが整然と並ぶ画面に、ひとりだけ取り残されたような気がして、どんどん居心地が悪くなっていきました。
ミーティングが始まるまでの数分間、誰の声も音もない静寂が続いていました。
その沈黙が、何よりこたえたのです。
油断していいタイミングなんて、どこにもない
顔から火が出るとは、まさにあのことです。
あれ以来、オンライン会議ツールを開くたび、私は真っ先に 「マイクとカメラの確認」 をするようになりました。
気を緩めるのは、すべてを終えてからにしています。
どんなときも油断は禁物。
あの日の自分が、それを身をもって教えてくれました。
【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。