夏の帰省シーズン、部活を優先して帰省を見送った中学1年の娘。自分で選んだその判断に、迷いを生じさせる行動を取る困った夫。友人が、体験談を語ってくれました。

夫の帰省、娘の決断

わが家は夫と中学1年の娘、小学5年の息子との4人家族。

夏の帰省は毎年、遠方にある夫の実家と決まっていました。

でも今年は、少し事情が違いました。

娘が中学の部活に打ち込んでいて、夏休みも練習や試合がぎっしり。

帰省と重なる日程だったため、「帰省するか、部活を優先するか、自分で決めていいよ」と娘に伝えると、迷うことなく部活を選んだのです。

「試合もあるし、部活楽しいから」と。

それを聞いた夫は「おばあちゃん、待ってるのに?」と不満そう。

そして帰省当日、夫は息子とふたりで義母の家へ向かいました。

私は娘に合わせて自宅に残り、ゆっくり過ごしました。

送り続けられた“キラキラ写真”

けれど、問題はそのあと。

夫は義母の家から、「川遊びをした」「バーベキューをした」「買い物に行った」と、娘に一方的に写真を送り続けたのです。

まるでSNSのキラキラ投稿を見せつけるように。

最初は平気だった娘も、日を追うごとに元気がなくなっていきました。

「部活選んだの、間違いだったかな」
「おばあちゃん家に行けばよかったかな」

と、こぼすように。

それを聞いた私は、「あなたの選択は間違ってないよ」と伝えました。

今の娘にとって、部活も仲間もかけがえのないもの。大人が考える“楽しい夏休み”とは、必ずしも一致しないものです。

それぞれの“夏”を尊重する

帰宅した夫に、私はやんわりと話しました。

「あなたがたくさん送ってた写真、娘にはちょっとつらかったみたいよ?」

夫は「え、見せてあげたかっただけだよ」と不満げ。

でも私は言いました。

「自分で決めたことなのに、“こっちは楽しいよ”って送り続けられたら、迷いが出るよ。あなたが娘がいなくて寂しかったのはわかるけど、娘も今、部活をがんばってるんだから」

しばらく黙っていた夫ですが、ぽつりと、

「そっか……おばあちゃんち楽しいよって思ってほしくてさ」とつぶやきました。

娘の成長に、まだまだ追いつけていない夫。

でもこの夏、娘の心の成長を夫は知ることができた気がします。

【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。