あれもダメこれもダメ
娘が小学生になったばかりの頃、やたらと私にダメ出しをしてくる時期がありました。
「お母さん、この服ダメ! その髪型やめて!」
道を一緒に歩いていれば、
「ここ歩かないで!」
と歩く場所まで指示される始末。
2歳頃のイヤイヤ期なら分かりますが、今度はダメダメ期が始まってしまったのか……
内心頭を抱えていました。
最初の頃はハイハイと軽く流していられましたが、毎日のようにあれこれ言われるので、一度しっかり娘と話をしようと思いました。
「お母さんの服装や髪型にダメって言うのはどうして?」
娘の本心
すると娘は、
「だってお母さんに長生きしてもらいたいから……」
と真剣な表情で返してきました。
??? 長生きしてほしいから?
「だってフードがついた服だとどこかに引っかかって首がしまるかもしれないし、髪もおだんごにしていると木の枝に引っかかって危ないし」
娘よ、母はそんなにあちこちに引っかかりそうに見えるのかい?
「道路だって、車が突っ込んで来たら危ないから、もっと端っこを歩いてほしいの!」
つまり、娘は日常に潜む様々な危険から母を守りたかったようです。
娘の成長に感無量
思ってもみなかった娘の言葉に驚きましたが、その優しい気持ちを嬉しく感じました。
ずっと守ってきたつもりでしたが、今度は私が守られる側になるなんて。
娘の成長を頼もしく思いますが、私も周りに気をつけるからダメ出しもほどほどにお願いね。
【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:田辺詩織
元医療事務、コールセンター勤務の経験を持つ在宅ワーカー。文学部出身で、文章の力で人々を励ましたいという思いからライターの道へ。自身の出産を機に、育児ブログを立ち上げ、その経験を生かして執筆活動を開始。義実家や夫、ママ友との関係、乳幼児期から中学受験まで多岐にわたる子育ての悩みに寄り添い、読者が前向きになれるような記事を届けている。